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緑内障治療で選択を迫られる「手術をすべきか否か」 最も効果的なトラベクレクトミーには最悪失明リスクも

緑内障をどう治療するか(イメージ)

緑内障をどう治療するか(イメージ)

 高齢期を迎え、目の健康は残りの人生のQOL(生活の質)に大きく関わる。日本人の失明原因の1位である緑内障は、自覚症状がないまま徐々に視野が欠け、気づいた時には手遅れというケースが多く厄介だ。

 根治する方法はないとされるが、進行を抑える努力は必要だ。その際に選択を迫られるのが、手術をすべきか否か。二本松眼科病院副院長の平松類医師が語る。

「緑内障の手術で進行を抑えるのに最も効果的なのが、眼球の強膜に穴を開けて房水の通り道を作ることで排出を促して眼圧を下げる『トラベクレクトミー』(繊維柱帯切除術)です。ただし、開けた穴から雑菌が入って炎症を起こすリスクがあり、最悪のケースでは失明に至ります。特に免疫が低下した人や糖尿病を患っている人がこの手術を受けると、数年後に患部に突然痛みが生じ、対処が遅れると視力を失う可能性があります」(以下「」内同)

 とはいえ、何もしなければ失明に至るリスクがある緑内障を放置するわけにもいかない。トラベクレクトミーのほかにはどんな治療法があるのか。

「眼圧を下げる飲み薬による治療もありますが、人によっては腎臓への負担が大きく、最悪の場合は腎不全になって透析が必要になるケースもあり、長期の服用はなるべく避けたい。

 緑内障の治療は点眼による効果が不十分なら手術が基本で、トラベクレクトミーより体への負担が少ない『MIGS』(低侵襲緑内障手術)という手術もありますが効果は劣る。同じく房水の排出を促すための手術で10~20分ほどで終了し、緑内障の進行を抑える効果を望めます」

 医師にトラベクレクトミーを提案された場合は従うべきだが、「進行の速さ」によって治療法を選択することも肝要だという。

「緑内障の進行が速い場合は早めの手術を勧めますが、進行が遅ければ点眼液や飲み薬、レーザー治療で様子を見ることも選択肢になります」

 なんにせよ、手術を受けたうえで失明という事態は避けたい。

※週刊ポスト2023年9月1日号

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