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世界陸上中継で「織田裕二ロス」が広がったのはなぜか?心理士が分析

世界陸上といえば織田裕二だった(時事通信フォト)

世界陸上といえば織田裕二だった(時事通信フォト)

 臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になったニュースや著名人をピックアップ。心理士の視点から、今起きている出来事の背景や人々の心理状態を分析する。今回は、世界陸上中継で話題となっている「織田裕二ロス」について。

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 いるとその熱量の多さがうるさく思ったものだが、いないとなんだか物足りない。そんな声がネットにも溢れていた。19日からスタートした『世界陸上ブタペスト』(TBS系)、日本人選手が大活躍する度にそんな感覚に襲われる。メインキャスターに俳優の織田裕二さん(55才)がいないのだ。

 今回の世界陸上では、1997年のアテネ大会から2022年のオレゴン大会まで、13大会連続でメインキャスターを務めてきた織田さんとフリーアナウンサーの中井美穂さん(58才)に代わり、局の看板アナウンサーである江藤愛アナ(37才)とスポーツ番組を担当する石井大裕アナ(38才)が総合司会になった。2人は真面目に明るく局アナらしい試合の実況中継を行い、スムーズにそつなく無難に番組をまとめていく。現地で解説するスペシャルキャスターは、シドニーオリンピック女子マラソンの金メダリストの高橋尚子さん(51才)。競技やアスリートに対する解説は、ポイントを衝いていてわかりやすくさすがである。

 そのためか今年の世界大会は前回よりも、見やすく聞きやすい。織田さん個人の思いや感情に左右されることがないし、脱線することもない。スポーツニュースを見ているように滑らかだ。競技に沿った盛り上げ方もレース展開中の解説も実にうまい。だが、以前のようなスタートする瞬間のハラハラドキドキ感や、手に汗握り一喜一憂しながら応援するワクワク感、競技が終わった後の高揚感がこれまでとどこか違う。

 昨年まではテレビ画面から、これでもかというほど織田さんの声が響き渡ってきた。それはまるでプロレスの実況中継に似て、数々の名言やキャッチフレーズで実況を盛り上げた古舘伊知郎さん(68才)のようでもあり、時には独特のセリフを絶叫した福澤朗さん(59才)のようでもあり、話術で競技をより盛り上げていたものだ。織田さんの司会も、私の中では古舘さんや福澤さんのプロレス中継のようなものだった。ハイテンションでうざい時もあるけれど、良くも悪くも慣れてそれを楽しみ、いつの間にか織田さんを含めて世界陸上という1つの番組になっていたのだ。だから今年の世界陸上はどこにでもあるスポーツ番組のようで、今一つ盛り上がりに欠けてしまう。

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