北朝鮮では、このところの猛暑をしのごうとショートパンツを履く女性に対して、「膝上の太ももが見えるようなショートパンツは資本主義ファッションの浸透だ」などと、警察が取り締まりをしていることが明らかになった。また、タバコを吸う女性も「社会主義社会にそぐわない」として身柄を拘束し罰金刑などを科しているという。
これに対して、「タバコもショートパンツも男性はお咎めなしなのに、女性だけが罰せられるのはおかしい」との不満の声が女性の間から上がっているという。米政府系報道機関「ラヂオ・フリー・アジア(RFA)」が報じた。
中国遼寧省丹東市と国境を接する北朝鮮新義州市では8月初め、警察のパトロール隊が市場で、ショートパンツを履いていた10人の女性を拘束した。彼女たちは自己批判文を書き、今後、ショートパンツ姿でいるのが分かったら、法的処罰を受けるという文書に署名させられたという。
この処罰の根拠は2020年に施行された「反動思想文化排撃法」で、この法律は韓国や西側諸国の資本主義的な文化的慣行とみなされる活動を排除する目的で制定された。だが、同法にはどのような行為が資本主義的なのかははっきりと規定していない。
このため、青少年にダンスを教えたり、髪の色を変えたり、露出の多い服装をしたりすることも、場合によっては取り締まりの対象になっている。
喫煙については、北朝鮮は2005年に「たばこ規制法」を成立させ、病院や診療所、公共交通機関での喫煙を違法としたが、女性の喫煙を取り締まる文言などはない。
しかし、新義州市では最近、レストランで食事をした後、喫煙した40代の女性2人が3万ウォン(約540円)の罰金を科せられたことが分かっている。その後も、罰金刑を受けた喫煙女性は増えており、2度目の場合は罰金10万ウォン(1800円)、3度目になると懲戒労働センターで1カ月の強制労働の刑に処せられるという。
北朝鮮当局は女性のショートパンツや喫煙も「資本主義文化を助長し、社会主義モラルを消滅させている」としているが、社会主義とは名ばかりの封建主義がいまだにはびこっているようだ。