中国の高校卒業生13万5000人が各地の中国人民解放軍士官学校の入学試験を受験し、1万7000人が合格していたことが分かった。士官学校の受験者数と合格者数がともに史上最多を記録した。
中国では軍は規律が厳しく命の危険も伴うため、若者に間で人気がないというのが定説だったが、若者の失業率が20%以上という超就職難の中、軍は安定した職場ということもあって、徐々に人気が高まってきたようだ。軍機関紙「解放軍報」が報じた。
士官学校の試験は、第1次として「政治検査」という書類検査があり、受験者の身長や体重、病歴、民族、家族構成、宗教、海外渡航歴や犯罪歴などがチェックされ、その合格者が第2次の筆記試験に臨む。
これを通過した5万人が面接と健康診断を受けて、最終的に1万7000人が合格し、幹部候補生として士官学校に入学する。最終倍率はほぼ8倍とかなりの狭き門だ。それでも、合格者数は昨年に比べて2000人も増えている。
これは中国人民解放軍の指導部が現在、部隊の訓練を合理化するとともに、新しいロケット部隊の立ち上げなど、より広範な軍改革に取り組んでいることが大きな要因となっている。
中国では古来、「好鉄不打釘、好人不当兵(良い鉄は釘にならない。優秀な人は兵士にはならない)」と言われてきたが、最近では当てはまらなくなってきたようだ。
習近平指導部はこのところ、軍の近代化やハイテク化に対応するため、高学歴で専門知識がある人材の確保を優先しており、軍幹部の待遇改善が進んでいることが背景にある。
今年6月の若者(16~24歳)の失業率は21.3%だが、北京大学の張丹丹・准教授(経済学)は、実際の失業率は「46.5%」になる可能性があると指摘しており、若者の就職難は深刻さを増している。その点、軍は安定した職場であり、一定の年数の軍歴を積めば、優先的に国有企業への転職も認められるというもの若者にとっては魅力的な点だといえよう。