北朝鮮当局が朝鮮労働党機関紙「労働新聞」について、「読み終わった後は包装紙として使わないで、再生紙としてリサイクルするために、回収しなければならない」と指示していることが分かった。
しかし、ほとんどの新聞は古紙として市場で売られており、当局は「反社会主義的行為」として古紙業者を逮捕し労働改造所に送りこんでいるという。米政府系報道機関「ラヂオ・フリー・アジア(RFA)」が報じた。
労働新聞は北朝鮮では唯一の党機関紙で、約300万党員の必読紙に位置づけられており、通常の本などよりも高品質の紙を使っている。古紙市場では普通のくず紙よりも5倍も高い1kg当たり5000ウォン(約84円)で売られているという。
また、市場では食品や商品の包装紙として使われたり、煙草の巻き紙としても利用されることがある。
しかし、北朝鮮当局は今月から市場で労働新聞を包装紙として使っている業者の取り締まりを始めた。当局は、「最高尊厳(金正恩総書記)を貶める行為であり、反社会主義的違法行為である」としている。
首都・平壌の市場で逮捕された複数の業者は「党機関紙転売の罪」で起訴され、1~2年間の労働改造の判決を受けたという。
労働新聞は通常、6ページ建てで、毎日発行されている。1日当たりの発行部数は発表されていないが、北朝鮮メディアは金氏が2015年に1日あたり60万部の製造と配布を命じたと報じている。その後、経済的苦境もあり、2018年には紙不足で20万部にまで激減したと中国メディアは伝えている。
いずれにしても、いまも北朝鮮国内の紙不足は変わらないため、北朝鮮当局は読み終わった労働新聞はリサイクルするよう指示。新聞を配達する従業員が毎月一度、各家庭や事務所から新聞を回収し、工場に送ってパルプ化し、新たな用紙として再生されることになっている。
ところが、回収した段階で、新聞配達従業員らが古紙を持ち帰り、市場で売りさばいているというのが実態だという。