ライフ

美容医療のトラブル急増、過去最多の相談件数に国民生活センターが注意喚起

独立行政法人「国民生活センター」のHPより

独立行政法人「国民生活センター」のHPより

「美容医療サービス」に関する相談が急増し、2022年度は3000件を超えて過去5年間で最多になったことが、国民生活センターから2023年8月30日に発表された。契約を急かされ、高額な契約を強要しているケースが目立つという。

 ヒフコNEWSでも美容医療に関連したトラブルについては何度も伝えてきた。治療がうまくいかず、合併症や後遺症に悩まされる問題のほか、医院が突然閉鎖されて、契約した人たちが路頭に迷う問題などが報告されている。

 今回、国民生活センターは「美容医療サービスに関する相談が多く寄せられています」として、あらためて苦情が急増している状況について紹介した。

※同センターは、資料の美容医療サービスに含まれるものとして、「医師による医療のうち、『専ら美容の向上を目的として行われる医療サービス』を指し、医療脱毛、脂肪吸引、二重まぶた手術、包茎治療、審美歯科、植毛等が主な施術(医学的処置、手術及びその他の治療)」と説明している。

 全国の消費生活センターに寄せられている相談事例では、消費者が美容医療サービスの契約を急かされトラブルに発展する事例が多いようだ。

 例えば、医療機関から割引のモニター契約を勧められながら、実際には高額な契約を結ばされたケース、また、多くの場合緊急ではないにもかかわらず、カウンセラーなどに不安をあおられ、即日施術を受けたものの、本人が後悔を感じているケースもあるという。

 国民生活センターでは、「トラブル防止のため相談事例を紹介するとともに、消費者への注意喚起を行います」と説明している。

23年度も前年同期より倍増近くに

 2018年度から2023年7月31日までの相談件数の推移をグラフ化すると、問題が年々深刻化していることが分かる。

 2022年度は相談件数は3709件と前年度から1000件近くも増加。2023年度も、4~7月の3カ月間だけで1845件に達し、前年同期の945件から倍増近くになっている。

 同センターは、リスクや副作用も含めて総合的に判断するよう求め、トラブルが発生した際には消費生活センターなどを案内する、全国共通の3桁の電話番号「188(いやや!)」に電話をかけるよう求めている。

参考文献

増加する美容医療サービスのトラブル-不安をあおられたり、割引のあるモニター契約を勧められても慎重に判断を!

成人年齢18歳に、10代の脱毛エステや医療のトラブル相談が急増

脂肪吸引のリスク、施術後、気道閉塞で窒息死するケースも

男性専門医療脱毛「ウルフクリニック」閉鎖で被害拡大、アディーレ法律事務所が集団訴訟提起

あなたの美容医療、大丈夫?大手弁護士事務所のベリーベスト法律事務所が被害情報収集を開始

ウルフクリニック「経営関与の会社」破産へ、美容医療の信頼性に懸念抱かせかねない問題

男性専門医療脱毛ウルフクリニック閉鎖で、救済の動きが広がる

「異物肉芽腫、しこり形成」が美容治療の合併症では最多、厚労省研究班報告

医療脱毛クリニック突然閉院、SNSで嘆きの声、相談窓口の設置も

【プロフィール】
星良孝/ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表、獣医師、ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

ヒフコNEWS

ヒフコNEWSは、国内外の美容医療に関する最新ニュースをお届けするサイトです。美容医療に関連するニュースを中立的な立場から提供しています。それらのニュースにはポジティブな話題もネガティブな話題もありますが、それらは必ずしも美容医療分野全体を反映しているわけではありません。当サイトの目標は、豊富な情報を提供し、個人が美容医療に関して適切な判断を下せるように支援することです。また、当サイトが美容医療の利用を勧めることはありません。

関連キーワード

トピックス

田中圭
《田中圭が永野芽郁を招き入れた“別宅”》奥さんや子どもに迷惑かけられない…深酒後は元タレント妻に配慮して自宅回避の“家庭事情”
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告(中央)
《父・修被告よりわずかに軽い判決》母・浩子被告が浮かべていた“アルカイックスマイル”…札幌地裁は「執行猶予が妥当」【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
ラッパーとして活動する時期も(YouTubeより。現在は削除済み)
《川崎ストーカー死体遺棄事件》警察の対応に高まる批判 Googleマップに「臨港クズ警察署」、署の前で抗議の声があがり、機動隊が待機する事態に
NEWSポストセブン
ニセコアンヌプリは世界的なスキー場のある山としても知られている(時事通信フォト)
《じわじわ広がる中国バブル崩壊》建設費用踏み倒し、訪日観光客大量キャンセルに「泣くしかない」人たち「日本の話なんかどうでもいいと言われて唖然とした」
NEWSポストセブン
北海道札幌市にある建設会社「花井組」SNSでは社長が従業員に暴力を振るう動画が拡散されている(HPより、現在は削除済み)
《暴力動画拡散の花井組》 上半身裸で入れ墨を見せつけ、アウトロー漫画のLINEスタンプ…元従業員が明かした「ヤクザに強烈な憧れがある」 加害社長の素顔
NEWSポストセブン
筑波大学の入学式に出席された悠仁さま(撮影/JMPA)
悠仁さま入学から1か月、筑波大学で起こった変化 「棟に入るには学生証の提示」、出入りする関係業者にも「名札の装着、華美な服装は避けるよう指示」との証言
週刊ポスト
藤井聡太名人(時事通信フォト)
藤井聡太七冠が名人戦第2局で「AI評価値99%」から詰み筋ではない“守りの一手”を指した理由とは
NEWSポストセブン
趣里と父親である水谷豊
《趣里が結婚発表へ》父の水谷豊は“一切干渉しない”スタンス、愛情溢れる娘と設立した「新会社」の存在
NEWSポストセブン
米利休氏のTikTok「保証年収15万円」
東大卒でも〈年収15万円〉…廃業寸前ギリギリ米農家のリアルとは《寄せられた「月収ではなくて?」「もっとマシなウソをつけ」の声に反論》
NEWSポストセブン
SNS上で「ドバイ案件」が大騒動になっている(時事通信フォト)
《ドバイ“ヤギ案件”騒動の背景》美女や関係者が証言する「砂漠のテントで女性10人と性的パーティー」「5万米ドルで歯を抜かれたり、殴られたり」
NEWSポストセブン
“赤西軍団”と呼ばれる同年代グループ(2024年10月撮影)
《赤西仁と広瀬アリスの交際》2人を結びつけた“軍団”の結束「飲み友の山田孝之、松本潤が共通の知人」出会って3か月でペアリングの意気投合ぶり
NEWSポストセブン
田村容疑者のSNSのカバー画像
《目玉が入ったビンへの言葉がカギに》田村瑠奈の母・浩子被告、眼球見せられ「すごいね。」に有罪判決、裁判長が諭した“母親としての在り方”【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン