スポーツ

【ラグビーW杯フランス大会】日本代表注目選手 多様性に富んだ「桜の戦士たち」は再び旋風を起こせるか

前回の日本大会では8強入りに貢献した「笑わない男」稲垣啓太(写真/共同通信社)

前回の日本大会で8強入りに貢献した「笑わない男」稲垣啓太(写真/共同通信社)

 ラグビーW杯フランス大会が9月8日に開幕する。過去2大会、チームを引っ張ってきたリーチマイケルに代わって主将を務めるのは4年前、自身の代名詞となったジャッカルを何度も成功させるなど日本の躍進に貢献した姫野和樹だ。

 姫野は愛知・春日丘高(現・中部大春日丘高)を経て、全国大学選手権9連覇の真っ只中だった帝京大に進学。所属のトヨタヴェルブリッツでは1年目から主将を務めているが、そもそもリーダーとは無縁だった。高校時代のラグビー部の恩師・宮地真監督が証言する。

「姫野は高校入学時に、すでに身長が187cmあり、1人で3、4人ぶんに匹敵するパワーがありました。グラウンドでは嫌でも目立ってしまう。ただ、本来は目立つことが苦手で、謙虚に目の前のことを忠実にやるタイプ。だから、高校時代は役職などを与えずにのびのびやらせていました」

 帝京大時代も主将などの肩書はなく、どこかとっぴな言動でチームを支えていた。代表主将となったいまも「僕にはパッションがある」などと話し、言葉より行動で示したいと語る。

 副将の流大(ながれ・ゆたか)は冗談半分に「姫野には頼りないところがある」と笑う。ラグビーは1次リーグだけでも約1か月にわたる。チームの浮き沈みのカギは主将の手綱さばきにかかっているともいえるだけに、姫野の頭目ぶりにも注目が集まる。

 W杯メンバー33人のうち前回大会の経験者は14人。初選出となった19人の中で期待の1人は松田力也と司令塔(スタンドオフ)のポジションを争う李承信だ。

 ラグビーでは出身地や国籍に関係なく一定の条件を満たせば代表の資格を得ることができる。朝鮮学校出身者として初の日本代表入りした李は、7月上旬から国内で行なわれた強化試合で、プレースキッカーとして存在感を示した。キッカーは、2015年のW杯で五郎丸歩が一躍“時の人”となったように最も脚光を浴びる役割でもある。

 3年前に大学を中退し、一時は所属先を失い、バイト生活を送っていた時期もあるだけに、李の父、李東慶さんも感慨深いと話す。

「大学を(ほぼ1年で)やめたときはどうなるかと思いました。そこから3年でW杯のメンバーに入るなんて、漫画でしかありえない話。幼少期はサッカーもやっていたので、承信のキックはサッカーで培われたもの。Jリーグの下部組織から声をかけてもらうなど、親としてはサッカーの方が稼げるんじゃないかとも思いましたが、息子はラグビーを選びました(笑)」

トライ後の“がっぺポーズ”

 国内の強化試合で最多の4トライを挙げたのがフィジー出身のセミシ・マシレワである。トライ後には「江頭2:50」のモノマネやコマネチポーズなどを取り入れたパフォーマンスを繰り出し、ひょうきんなキャラクターとしても知られる。

 花園近鉄ライナーズのチームメイトの岡村晃司は、そんなマシレワについてこう期待を込める。

「セミシは普段から明るく、意味を正しく理解しているかは不明ですが、関西弁が気にいったみたいで『もうええって』『なにしてんねん』とよく言っています(笑)。一方、努力家で、細かいステップを生かした突破は魅力。フランスでもトライして“エガちゃんのがっぺポーズ”を見せてほしい」

 強化試合は1勝5敗と負け越し、状態を不安視する声もあるが、ベテランの流はこう反論する。

「前回だって誰も日本が史上初のベスト8に行くとは思っていなかったはず。今回も見ていてください」

 多様性に富んだ「桜の戦士たち」は、世界の強豪を連破し、再びラグビー旋風を起こせるか。

関連記事

トピックス

憔悴した様子の永野芽郁
《憔悴の近影》永野芽郁、頬がこけ、目元を腫らして…移動時には“厳戒態勢”「事務所車までダッシュ」【田中圭との不倫報道】
NEWSポストセブン
現行犯逮捕された戸田容疑者と、血痕が残っていた犯行直後の現場(左・時事通信社)
【東大前駅・無差別殺人未遂】「この辺りはみんなエリート。ご近所の親は大学教授、子供は旧帝大…」“教育虐待”訴える戸田佳孝容疑者(43)が育った“インテリ住宅街”
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
【エッセイ連載再開】元フジテレビアナ・渡邊渚さんが綴る近況「目に見えない恐怖と戦う日々」「夢と現実の区別がつかなくなる」
NEWSポストセブン
大阪・関西万博を訪問された愛子さま(2025年5月8日、撮影/JMPA)
《初の万博ご視察》愛子さま、親しみやすさとフォーマルをミックスしたホワイトコーデ
NEWSポストセブン
『続・続・最後から二番目の恋』が放送中
ドラマ『続・続・最後から二番目の恋』も大好評 いつまでのその言動に注目が集まる小泉今日子のカッコよさ
女性セブン
事務所独立と妊娠を発表した中川翔子。
【独占・中川翔子】妊娠・独立発表後初インタビュー 今の本音を直撃! そして“整形疑惑”も出た「最近やめた2つのこと」
NEWSポストセブン
名物企画ENT座談会を開催(左から中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏/撮影=山崎力夫)
【江本孟紀氏×中畑清氏×達川光男氏】解説者3人が阿部巨人の課題を指摘「マー君は二軍で当然」「二軍の年俸が10億円」「マルティネスは明らかに練習不足」
週刊ポスト
田中圭
《田中圭が永野芽郁を招き入れた“別宅”》奥さんや子どもに迷惑かけられない…深酒後は元タレント妻に配慮して自宅回避の“家庭事情”
NEWSポストセブン
ニセコアンヌプリは世界的なスキー場のある山としても知られている(時事通信フォト)
《じわじわ広がる中国バブル崩壊》建設費用踏み倒し、訪日観光客大量キャンセルに「泣くしかない」人たち「日本の話なんかどうでもいいと言われて唖然とした」
NEWSポストセブン
ラッパーとして活動する時期も(YouTubeより。現在は削除済み)
《川崎ストーカー死体遺棄事件》警察の対応に高まる批判 Googleマップに「臨港クズ警察署」、署の前で抗議の声があがり、機動隊が待機する事態に
NEWSポストセブン
北海道札幌市にある建設会社「花井組」SNSでは社長が従業員に暴力を振るう動画が拡散されている(HPより、現在は削除済み)
《暴力動画拡散の花井組》 上半身裸で入れ墨を見せつけ、アウトロー漫画のLINEスタンプ…元従業員が明かした「ヤクザに強烈な憧れがある」 加害社長の素顔
NEWSポストセブン
趣里と父親である水谷豊
《趣里が結婚発表へ》父の水谷豊は“一切干渉しない”スタンス、愛情溢れる娘と設立した「新会社」の存在
NEWSポストセブン