上昇気流に乗る日本維新の会。新聞各紙の世論調査では政党支持率が軒並み立憲民主党を上回り、馬場伸幸・代表が目標に据えた次の総選挙での「野党第一党」の座が射程に入っている。その馬場氏がことあるごとに強調するのが「身を切る改革」と「しがらみのない政治」という維新の2大看板だ。それを示すために、維新は党と所属議員に企業・団体献金を受けることを禁止し、公式ホームページでこう謳っている。
〈日本維新の会は、団体意思ではなく、個人の自立という考えのもと、企業団体からの政治献金を禁止し、個人寄附の支援のみ受けさせていただいております〉
だが、これには“グレーゾーン”がある。企業団体献金禁止と言いながら、業界団体がつくる政治連盟からの寄附や、政治資金パーティーの開催は禁止していないのだ。
馬場代表自身も“グレーゾーン”の資金集めをしている。政治団体「馬場伸幸後援会」の令和3年分の政治資金収支報告書によると、2021年に堺市薬剤師連盟と全日本不動産政治連盟大阪府本部からそれぞれ10万円の寄附を受けている。そのうえ、馬場氏は今年8月28日に地元の大阪府堺市で政治資金パーティーを開いた。こうした“言行不一致”の状況に、維新内部からも批判の声が挙がっている。
その筆頭が、維新きっての論客として知られる音喜多駿・政調会長だ。維新政治塾の塾長を兼務し、馬場代表、吉村洋文・共同代表、藤田文武・幹事長に次ぐ維新の最高幹部の1人である。
音喜多氏は7月17日に国政報告会(政治資金パーティーではない)を開いたが、そこで支持者からこんな質問が出た。
「維新の会は、改革の妨げになるということで企業団体献金を禁止していると聞いています。6月29日にNHKのニュースで、日本医師連盟から献金を受けていると報道がありました。この件について党としての見解と音喜多議員の見解を聞かせてくだい」
それに対して音喜多氏は政治連盟からの献金やパーティーを「抜け穴」と指摘し、こう語ったのだ。