友人との会話がもっぱら「最近、腰が痛くてさぁ」「降圧剤を飲み始めたよ」なんてことになっている中高年も多いのではないだろうか。「高血圧」と「脊柱管狭窄症」。多くの人を苦しめる2つの悩みを同時に改善できたら──。専門が異なる名医の意見をもとにそんな“夢のような改善策”を考案した。
腰痛改善で血圧も下がる
“国民病”と言われる「高血圧」の推定患者数は4300万人。治療には降圧剤を服用するほか、食事など生活習慣の改善が有効とされる。
一方、「身体の痛み」という自覚症状を伴う国民病もある。代表例が腰痛だ。加齢などにより背骨などが変形することで神経が圧迫され、腰に痛みが生じる「腰部脊柱管狭窄症」の患者数だけでも推定580万人にのぼる。
中高年世代では、「高血圧と脊柱管狭窄症のいずれも当てはまる」という人も少なくないだろう。症状改善のためのアプローチはそれぞれ異なるように思えるが、実は脊柱管狭窄症の改善に向けた取り組みが血圧にいい影響を与えることもある。
24時間血圧測定を続ける「ミスター血圧」こと渡辺尚彦医師(日本歯科大学内科客員教授)は、脊柱管狭窄症の激痛に悩まされ、運動療法などで克服した経験を持つ。その経験も踏まえてこう話す。
「意外に思われるかもしれませんが、身体の痛みと血圧は切っても切れない関係にあります。人がストレスや痛みを感じた時に活発になる交感神経は、末梢血管を収縮させて心拍数を上げ、心臓からの血流量を増やし血圧を上昇させる。一時的だとしても脊柱管狭窄症などの痛みは血圧を上昇させる原因となるため、逆に、その痛みを緩和することで血圧降下につながりやすくなります」
2つの疾患に“結びつき”があるなら、血圧、腰痛の両方を一度に改善させる方法もあるのではないか──。整形外科医の戸田佳孝医師(戸田整形外科リウマチ科クリニック院長)は、「腰痛に効くストレッチなどの動作に腹式呼吸を取り入れれば、高血圧の改善も期待できて一石二鳥だ」と言う。
戸田医師が考案したのが、まっすぐ椅子に座って背骨を傾ける「深々謝罪ストレッチ」だ。