ライフ

「半年でフルマラソン完走」のためでやるべきこと まずは“歩き込み”で土台作り

『東京マラソン2023』のスタート(共同通信社)

『東京マラソン2023』のスタート(共同通信社)

 今年3月、約3万8000人が走った「東京マラソン」。参加者の年齢層は10〜80代と幅広く、過去には6時間台で完走した90才男性もいた。 42.195kmという気の遠くなるような距離を、なぜ走ろうと思うのか。

「ふだん、車でしか通れない公道を、ゼッケンをつけて走るのが快感」「走るたびにタイムが縮まるのがうれしい」など、参加の動機は人それぞれだ。

 だが、「苦しくて二度と走らないと思うのに、完走した瞬間、また出ようと思ってしまう」など、走った人だけが持つ特別な達成感があるようだ。

 そんな精神的満足だけでなく、「健康的な効果も見逃せない」と、福岡大学スポーツ科学部教授の川中健太郎さんは語る。

「マラソンをすると、ゆっくりと収縮する『遅筋』内の毛細血管やミトコンドリア(エネルギーを生成する小器官)、そして心臓が発達します。それにより、筋肉に多くの血液や酸素が供給できることで持久力のある、疲れにくい体になるんです。特に“細胞活性のエンジン役”であるミトコンドリアは、1週間に2〜3回トレーニングしただけでも増大するため効率もいい。それに海馬も発達するので認知機能の向上にも効果があります」(川中さん)

 とはいえ、本誌が掲げた目標は半年でフルマラソン完走。しかも、すっかり運動とは縁遠くなった私たち……。初心者がたった半年の準備で完走できるものだろうか?

 そんな疑問に対して、完走プランを指導してくれるランニングコーチの齊藤太郎さんは、「日常生活の活動量で差はつきますが、座りっぱなしの生活が長い人でも、しっかりと土台作りに励めば不可能ではありません」と、力強く語る。

 また川中さんは、「歩く速度で走るスロージョギングなら完走は可能です」と言う。

 あきらめたらそこで試合終了。少なくとも最後まで走りきったと胸を張るためにいま、何をすべきか。

約7万歩の歩数を“安全”に刻める脚力

「マラソンにおいて重要なのは、“速く走れる力”ではなく、“長く走れる力”です」と齊藤さんは言う。

「以前、運動をしていた人でも、長年使わなければ、当然脚力はさびつきます。反対に、走る習慣がなくても、立ち仕事などで常に脚(足)を動かしている人は、半年でフルマラソン完走は可能です」(齊藤さん・以下同)

 ちなみに、東京マラソンの制限時間である7時間前後でゴールした人の歩数は、約7万歩になるという。

「『サブ3(3時間以内にゴールすること)』レベルのランナーは約3万歩でゴールしているので、一般ランナーは彼らの倍以上の歩数を要することになる。つまり、7時間かかる人の場合は、約7万歩の歩数を“安全”に刻める脚力が必要ということです」

 歩くときの着地衝撃は体重の1.5倍だが、走りとなると、体重の3倍の衝撃がひざや足首にかかるという。さらに下り坂ではそれ以上の衝撃だ。

「衝撃に耐えられる筋力や関節ができていないのに、いきなり走る練習をしてしまうと、1か月くらいで足を痛めてしまいます。まずは走り込みならぬ、“歩き込み”で土台を作りましょう」

関連記事

トピックス

降谷健志の不倫離婚から1年半
《降谷健志の不倫離婚から1年半の現在》MEGUMIが「古谷姓」を名乗り続ける理由、「役者の仕事が無く悩んでいた時期に…」グラドルからブルーリボン女優への転身
NEWSポストセブン
警視庁がオンラインカジノ店から押収したパソコンなど(時事通信フォト)
《従業員や客ら12人現行犯逮捕》摘発された店舗型オンカジ かつての利用者が語った「店舗型であれば”安心”だと思った」理由とは?
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン
放送作家でコラムニストの山田美保子さんが、さまざまな障壁を乗り越えてきた女性たちについて綴る
《佐々木希が渡部建の騒動への思いをストレートに吐露》安達祐実、梅宮アンナ、加藤綾菜…いろいろあっても流されず、自分で選択してきた女性たちの強さ
女性セブン
看護師不足が叫ばれている(イメージ)
深刻化する“若手医師の外科離れ”で加速する「医療崩壊」の現実 「がん手術が半年待ち」「今までは助かっていた命も助からなくなる」
NEWSポストセブン
(イメージ、GFdays/イメージマート)
《「歌舞伎町弁護士」が見た恐怖事例》「1億5000万円を食い物に」地主の息子がガールズバーで盛られた「睡眠薬入りカクテル」
NEWSポストセブン
キール・スターマー首相に声を荒げたイーロン・マスク氏(時事通信フォト)
《英国で社会問題化》疑似恋愛で身体を支配、推定70人以上の男が虐待…少女への組織的性犯罪“グルーミング・ギャング”が野放しにされてきたワケ「人種間の緊張を避けたいと捜査に及び腰に」
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
【新宿タワマン殺人】和久井被告(52)「バイアグラと催涙スプレーを用意していた…」キャバクラ店経営の被害女性をメッタ刺しにした“悪質な復讐心”【求刑懲役17年】
NEWSポストセブン
女優・遠野なぎこの自宅マンションから身元不明の遺体が見つかってから1週間が経った(右・ブログより)
《上の部屋からロープが垂れ下がり…》遠野なぎこ、マンション住民が証言「近日中に特殊清掃が入る」遺体発見現場のポストは“パンパン”のまま 1週間経つも身元が発表されない理由
NEWSポストセブン
幼少の頃から、愛子さまにとって「世界平和」は身近で壮大な願い(2025年6月、沖縄県・那覇市。撮影/JMPA)
《愛子さまが11月にご訪問》ラオスでの日本人男性による児童買春について現地日本大使館が厳しく警告「日本警察は積極的な事件化に努めている」 
女性セブン