昨秋、“シニアから元気を発信する超高齢社会のダンス大会”として発進した斬新なイベントが、今年はパワーアップして帰ってきた──。
9月2日にKAAT 神奈川芸術劇場で開催された「FIDA GOLD CUP 2023」大会に集結したダンサーの平均年齢は70才、最高齢は90才! 去年の約3倍となる13チームが集い、真夏日となったこの日のジリジリと照りつける太陽にも負けない、熱気溢れるパフォーマンスで会場を沸かせた。
この大会の“顔”と言えるのが、杉良太郎だ。杉が名誉会長を務める一般社団法人日本国際ダンス連盟FIDA JAPANが主催し、エントリー資格があるのは当団体の「ダンス健康クラブ」に登録をしているダンスチーム。タイトルのGOLDには「Good OLD/古き良き/良い形で年を重ねている」の意味が込められ、シニア層とされる65才以上を指す。ヒップホップダンスを通じたGOLD世代の健康増進を推進しているが、その理由に杉は「リズム」を挙げる。
「生涯、元気で長生きをするためには体にリズムを入れていくことが大事。高齢になってリズム感に欠けると階段をスムーズに下りられなくなったり、歩きながらつまずいてしまったりする。ラジオ体操もいいけれどリズムを養うなら、音楽に合わせてステップを踏むダンスを勧めたい」
13チームのダンスバトルの前には厚生労働省「健康一番プロジェクト」の催しとしてダンスの健康効果について理解を深める特別プログラムも行われ、本番を控えたダンサーも参加した。
プログラムの司会進行を厚生労働省「知って、肝炎プロジェクト」肝炎対策広報大使の徳光和夫が務め、スペシャルゲストとして「健康一番プロジェクト」サポーターでダンサーのMaasa (マーサ)、東京大学先端科学技術研究センター・特任研究員の宮崎敦子さんが登壇した。宮崎さんは認知症予防研究の第一人者としてダンスと認知症予防の関連を研究しており、その成果を報告。
「高齢者の認知症予防にダンスが効果的なのはデータでも実証されています。すり足の盆踊りなどと違い、ダンスはリズムに合わせてステップを踏むことで体幹とバランスが鍛えられて、歩行が速くなる。歩く速度と認知症のリスクには関係があり、ダンスを習慣にする人には歩行速度と認知機能アップが見られました」