故・ジャニー喜多川氏による性加害問題に揺れるジャニーズ事務所。東山紀之(56)が新社長に就任し、9月7日に都内で会見を開いた。所属タレント最年長で“ジャニーズの長男”と呼ばれる東山は、「(性加害は)噂としては聞いていたが、自ら行動できずにいた」と語り、「人類史上最も愚かな事件」と言い切った。会見後は、サントリーホールディングスや東京海上日動火災保険、日本航空(JAL)など、所属タレントの広告起用を見直すスポンサー企業も出てきている。
この問題が大きく報じられるようになったのは、今年3月、イギリスのBBC(英国放送協会)によるドキュメンタリーの放送がひとつのきっかけだった。そのためBBCを“黒船”に例える見方もある。ネット上では、〈BBC報道という黒船〉や〈外圧がないと何も変われない〉といった声が上がっており、〈BBCには感謝しかない〉と称賛する声もある。
そうした中、海外では、BBCとジャニーズ事務所に共通点を見出すような報道もされている。イギリス在住のジャーナリストが語る。
「すでに報じられている通り、BBCも、権力者による性加害を生み出した過去を抱えています。同放送協会の元人気司会者のジミー・サビル氏は、2011年10月に亡くなった後、大勢の子どもたちに性的虐待を加えていたことが明らかになりました。
生前に逮捕・起訴されることはありませんでしたが、被害者からの告発が相次ぎ、警察当局も捜査する事態に。サビル氏が50年以上にわたり起こした少年少女に対する性犯罪は200件以上とも言われており、『イギリス史上最も多くの罪を重ねた性犯罪者』と呼ばれています。もちろん彼を長年起用し、最終的には犯罪を隠蔽してきたことを認めたBBCを批判する声も相次ぎました」(イギリス在住のジャーナリスト、以下同)
サビル氏はBBCで1964年から42年間にわたり放送された長寿音楽番組『トップ・オブ・ザ・ポップス』の初代司会者でもあり、英国では「伝説の男」と讃えられてきた。
ジャニーズ事務所の問題が大きく報じられはじめた中で、ジャニー氏とサビル氏の問題を絡めた海外報道は多い。アメリカのABCニュースは、〈ジャニー氏と同様に、サビル氏の数十年にわたるキャリアを通じて彼の行動に関する噂はあったが、調査はほとんど行われなかった〉(3月14日付)と報じている。
また、イギリスの高級紙テレグラフは、ジャニー氏を〈日本のジミー・サビル〉(4月16日)と称し、同じくイギリスのロイター通信も〈日本国民の憤りは、ハリウッド映画プロデューサーのハーベイ・ワインスタイン氏と英国のテレビスターであるジミー・サビル氏のスキャンダル後に現地で見られた反応と似ている〉(9月8日)と伝えた。
サビル氏は、イギリスの芸能界において絶大な権力を握っていた。