中国政府が、全国人民代表大会(全人代=国会に相当)に「中華民族の国民感情を害する衣服禁止」に関する改正法案の提出を準備していることが明らかになった。主な改正点は違反者を拘束したり、罰金を科したりすることができるというものだが、どのような服を着て、どのような行為をすれば、犯罪になるのかは明らかにされておらず、市民の間で不安が広がっている。米紙「ニューヨーク・タイムズ」が報じた。
法案には「中華民族の精神を損ない、中華民族の感情を傷つける衣類やシンボルを身につけたり、公共の場で着用したりすることを禁ずる」との文言が入っていることが分かっている。
市民からは、政府の関連部署にどのような服装や行為が犯罪とみなされるのかなどの問い合わせがあるというが、担当者は全人代に提案されるまで待つように対応したという。
ネット上では「もし全国人民代表大会で可決されれば、このような行為は最高3000元(約6万円)の罰金と最高15日間の拘留に処される可能性がある」との噂まで広まっている。
このため、この法案は中国の法学者、ジャーナリストなどから広く批判を浴びている。SNS上では、「この法案が施行されれば、当局が気に入らないことは何でも規制できるようになる」との指摘が飛び交っている。
つい最近も、ある老人がバスの中で「和服」と思われる服を着ていた若い女性をたしなめたことがネット上で話題になった。その女性は、映画やゲームのキャラクターに扮するコスプレ会場に行く途中だった。
また、北京のショッピングセンターの警備員が「サムライ」の格好をした男性の入場を拒否したこともある。
これらの事例は、反日感情を持つ市民の反発のよるものである可能性が高いが、法案が可決されれば、日中関係に影響することも懸念される。