この夏のドラマの話題を独占した『VIVANT』(TBS系)。モンゴルと日本を股にかけたスケールの大きな物語の中で、圧倒的な存在感を見せたのが主演の堺雅人(49才)だ。一切妥協せずに役者道を突き進む彼には、心酔する人物がいた。【全3回の第3回】
売れっ子としての地位を確立し、生涯の伴侶と子宝に恵まれ順調な人生を歩む──。そんな堺が心酔し、交流を続ける女性が、別にいることはあまり知られていない。御年87才の人間国宝・竹本駒之助である。
「三味線を伴奏とする語り物を浄瑠璃といいますが、駒之助さんは浄瑠璃の一流派である女流義太夫の第一人者です。1999年に人間国宝となり、2017年に文化功労者に選出されました」(スポーツ紙記者)
その人間国宝に堺が“弟子入り”していたというのだ。
「堺さんは『真田丸』の主演が決まったときに『伝統芸能の発声を学びたい』と関係者を通じて駒之助さんを訪ね、稽古に参加したそうです。義太夫は歌舞伎俳優にとって必修ですが、熱心に義太夫の稽古を続ける人は少なくなっています。そんな状況で、歌舞伎役者でもない堺さんが女流義太夫に師事するのはちょっとした驚きです。それだけご自身の表現の幅を広げたいという意欲が旺盛なのでしょう」(堺の知人)
もともと堺は日本の芸事への関心があったようだ。
「堺さんは、2013年に開催された俳優・北村和夫さんの七回忌追善の日本舞踊会で、歌舞伎の三味線音楽である長唄の『外記猿』を披露しています。駒之助さんのところでは、『仮名手本忠臣蔵』の最初の段にある“恋歌の段”を中心に稽古をされていたそうです」(前出・堺の知人)
徹底した役作りで知られる堺は配役が決まると資料を読み込み、実在する人物ならば生誕地や墓などをできる限り訪れて人物像に迫る。NHK大河ドラマ『篤姫』(2008年)で13代将軍徳川家定を演じたときには境遇が似ている歴代天皇の歌集を読み、『新選組!』のときは切腹シーンのある映画を何本も見たという。
実際に駒之助が舞台に立つ際、観客席から熱い視線を送る堺が何度も目撃されている。さらに来場できないときは、決まって“あるもの”を贈ってくるという。
「駒之助さんが公演するたびに、堺さんは真っ赤なバラのスタンドを贈っているんです。本当に情熱的な深紅のバラで、堺さんがどれだけ駒之助さんに心酔しているかわかります。あまりに美しいので終演後はお弟子さんたちがわれ先にとバラを持ち帰ることが恒例になっているほどです(笑い)。