中国の習近平国家主席は、香港の小中学生や高校・大学生に対して、「中国への愛国心を深めていかなければならない」などと呼びかけた。さらに、香港の学生は、授業の一環として中国本土の中国共産党の「革命聖地」を巡礼することが義務付けられることとなった。これは香港の若者を年少時から中国共産党の考え方になじませ、中国への愛国心を育てる取り組みだといえる。中国系香港紙「文匯報」が報じた。
習氏はこのほど、習氏に手紙を送った香港の中学生に返事をする中で、「何千冊もの本を読み、何千キロもの距離を旅して、祖国の歴史、文化、現状を深く理解し、学業を積み重ね、愛国心を深めていかなければならない」と呼びかけた。
これについて、香港政府トップの李家超行政長官は「中国の愛国教育を強く支持する」としたうえで、「習主席の返事の精神を実行するために、香港政府は(9月の)新年度から中国本土の共産党の革命精神を深化させるカリキュラムを組む」などと発表した。
香港ではすでに一部の学校では修学旅行で中国本土を訪れ、いわゆる「革命の聖地」を巡って、革命精神を学ぶことが授業の一環として組み込まれているが、9月の新学期からは「国家安全保障教育」を強化し、学生に対する愛国教育を義務付けることになった。
また、学校の教師には今学期から、「法令違反や社会一般に受け入れられる道徳基準から逸脱した学生」を当局に報告することが義務付けられた。これは中国への愛国教育のための旅行を拒否した学生なども該当するとみられる。
ある中学校では生徒の「愛国心を養い、国家安全保障の意識を高める」ために、香港に隣接する広東省の中国人民解放軍の施設に泊まり込みで、軍隊式体験教育に参加することが決まっているという。
今後、中国本土の革命聖地で香港の学生らの姿が頻繁にみられることになりそうだ。