最終回を迎える日曜劇場『VIVANT』。同作の特徴はなんといっても堺雅人(49、乃木憂助役)、阿部寛(59、野崎守役)、役所広司(67、ノゴーン・ベキ役)、二階堂ふみ(28、柚木薫役)、松坂桃李(34、黒須駿役)ら豪華キャストの存在だ。
このほか脇を支えるキャストの配役も話題に。乃木の上司を演じる歌舞伎役者の市川猿弥(56、宇佐美部長役)やバルカ共和国の協力者を演じる富栄ドラム(31、ドラム役)、バルカ警察を演じたバルサラハガバ・バトボルド(37、チンギス役)、乃木の同期で「テント」と関係のあった迫田孝也(46、山本巧役)、謎のテロ組織「テント」幹部を演じた山中崇(45、アリ役)などの存在が際立った。
さらに、モンゴルで行われた現地での撮影シーンも、ドラマの見どころのひとつだ。今回は、NEWSポストセブンがこれまで総力取材してきた『VIVANT』舞台裏を振り返る──。
目次
・『VIVANT』出演者相関図
・TBS・福澤克雄監督のもとに豪華キャストが集まった理由
・堺雅人が『半沢直樹』『VIVANT』で活躍するまでの「ブレイク前夜」
・阿部寛の知られざる過去「パチンコをして糊口を凌ぐ生活」
・脇を固めた独特キャラ! 富栄ドラムや市川猿弥らの意外な素顔
・異例の2ヶ月半モンゴルロケは堺のためにCM撮影隊を日本から派遣したことも
・福澤監督の試行錯誤で大注目された『VIVANTメシ』秘話
・『VIVANT』続編は2025年の放送か キャスト陣には日程調整の打診済み
『VIVANT』出演者相関図
TBS・福澤克雄監督のもとに豪華キャストが集まった理由
原作・演出を手掛けるのはTBSドラマ監督の福澤克雄氏(59)。堺が主演を務めた『半沢直樹』(2013年)をはじめ数々の人気ドラマを世に送り出した“敏腕”で知られる。今作に豪華俳優が結集したのも、福澤監督の力が大きいという。
「福澤さんは福澤諭吉の玄孫で、幼稚舎から大学まで慶応という名家の出。高校時代はラグビー日本代表に選ばれ、190cmの身長から“ジャイさん”と呼ばれています。実力と情熱を備えた福澤さんの作品に喜んで参加する俳優は多い。特に今回は企画が壮大になるという話もあって、出演をすぐに承諾した人が多かったと聞いています」(TBS局員)
主演を務める堺と福澤監督は、2011年の日曜劇場『南極大陸』で初タッグを組んで以来の仲で堺は「“全身全霊で応えてくれる”」(番組関係者)と絶賛しているという。一方、阿部も『下町ロケット』(2015年、2018年)など数々の福澤作品に出演しており、縁が深い。『下町ロケット』と『VIVANT』に出演した俳優の谷田歩(48)は2人の親密さについてこう語る。
「今作のある撮影シーンで、ジャイさんが阿部さんに『今のどっちがいい?』と聞いたんです。撮りたい画は決まっているはずなのに役者目線の意見を聞くなんて、それだけ信頼しているのだと思いました。あの2人は作品に対する感性が似ていて、お互いを認め合っている感じ。おそらく阿部さんは、日本の監督のなかでジャイさんを一番信頼しているんじゃないかな」
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堺雅人が『半沢直樹』『VIVANT』で活躍するまでの「ブレイク前夜」
日本大使や公安警察が入り乱れる壮大なシナリオのなかで躍動する堺の姿に、SNSでは〈迫真の演技〉〈やっぱり天才〉と絶賛の声が上がった。2004年のNHK大河ドラマ『新選組!』の山南敬助役でブレイクしてから間もなく20年。社会現象となったドラマ『半沢直樹』、NHK大河ドラマの『真田丸』(2016年)とヒット作を重ね、「視聴率男」と呼ばれるまでになった堺だが、そんな彼にも長い「ブレイク前夜」があった。
NEWSポストセブンでは堺が入学した県内有数の進学校である宮崎南高校時代の恩師であり歌人である伊藤一彦氏や、演劇部のころに講師として堺を指導した宮崎県在住の女優・濱崎けい子氏から、学生時代の堺について話を聞き出している。
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阿部寛の知られざる過去「パチンコをして糊口を凌ぐ生活」
主演・堺とともにドラマの“両輪”となる阿部はモデル出身として知られているが、意外にも名優に上り詰めるまでの道のりは険しかった。NEWSポストセブンでは、映画『はいからさんが通る』の撮影現場で俳優デビューした阿部の様子について、当時人気絶頂のアイドル・南野陽子(56)に回想してもらっている。
デビュー当初は二枚目俳優として仕事が舞い込んでいたが、時が流れるとともに二枚目役も来なくなった。さらにバブルが崩壊し、投資先の不動産が暴落。億を超える借金を背負った。しばらくはパチンコをして糊口を凌ぐ生活が続いていたが……。
『VIVANT』で熱演する阿部に隠された挫折からの再ブレーク、そして演技に関するひたむきさなどをNEWSポストセブンは取材している。
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脇を固める俳優・富栄ドラムや市川猿弥の意外な素顔
作中で独特の存在感を見せるドラムを演じたドラム富栄は、「元力士」という異色の経歴の持ち主だ。伊勢ヶ濱親方(元横綱・旭富士)の目に留まり、入門。四股名は『富栄』で、2008年の3月場所で初土俵を踏み、やがて幕下に定着。168cm、120kgながら土俵上を元気よく動き回り、勝つと喜ぶし、負けると泣いて落ち込んだりする喜怒哀楽の激しい力士だったという。ドラマでは阿部に付き従う役回りの富栄だが、力士時代は有名力士たちのそばで過ごしたが、相撲部屋では横綱に上り詰めた日馬富士と照ノ富士の付け人を務めていたのだという。
また意外な趣味もあり「ボイスパーカッションができる照ノ富士に合わせてラップを披露したことも。関西(神戸)出身でノリがよく、部屋でも明るい人気者だった」(相撲担当記者)とのこと。
また福澤監督がこれまで手がけてきたドラマには歌舞伎役者の存在も際立ったが、今作には市川猿弥が抜擢された。猿弥は、二代目市川猿翁(享年83)の愛弟子として、歌舞伎界では知る人ぞ知る存在だった。梨園関係者はこう言う。
「一般家庭の出身でありながら、二代目猿翁の部屋子に抜擢されました。確かな腕と愛嬌で重厚な古典からコミカルな役までこなせる、まさに万能型の歌舞伎役者。坂東玉三郎(73)や市川團十郎(45)ら大物歌舞伎役者からも好評を得る“愛されキャラ”の人気者なのです」
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異例の2ヶ月半モンゴルロケ、堺のためにCM撮影隊を日本から派遣したことも
今ドラマの見どころでもある壮大なモンゴル現地でのシーン。ロケは今年の4月中旬から6月にかけて行われていたという。異例の長期海外ロケを行なう一方で、情報管理は徹底されていたという。主演の堺は、最も多くの時間をモンゴルロケに割いていた。
「出番が多い堺さんは、ほかの俳優さんと違って、なかなか帰国できるタイミングがなかったんです。でも、夏の間に終えなければならないCM撮影があり、CMの撮影隊を日本からモンゴルまで呼んだそうなんです。ドラマロケのスケジュールを調整すれば帰国できたのかもしれませんが、いったん日本に戻ることで役柄である“乃木”を忘れてしまうのが嫌だったのだとか」(ドラマ制作関係者)
モンゴルでは、3000頭以上の馬やラクダ、羊も撮影に“参加”しており、乗馬シーンも多かった。そのため、乗馬指導を行うスタッフも日本からロケに同行したという。NEWSポストセブンでは、時代劇や大河ドラマでの馬術指導で知られる乗馬クラブ「ラングラー・ランチ」代表の田中光法氏から、乗馬の猛練習をする堺や二階堂の様子を聞き出している。
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福澤監督の試行錯誤で大注目された『VIVANTメシ』
『VIVANT』は一方で、物語の真相を予想する「考察」が大きな魅力でもある。赤飯やもんじゃ焼き、お餅に目玉焼きなど、劇中に登場するさまざまな「VIVANTメシ」も見どころになっており、撮影に使用する食材や調理法には、本作で脚本も手がけている福澤監督のこだわりが詰め込まれている。
多くの視聴者を引きつけたのが赤飯だ。この赤飯ができあがるまでにも、福澤監督の幾度とない試行錯誤があった。
「福澤さんは『とらや』の赤い赤飯を食べたとき、その赤い色に衝撃を受けたようです。『とらや』の赤飯は小豆を使用していますが、小豆は火を通すと形が崩れやすくなります。映像作品として、見た目にもこだわる福澤さんは、小豆より煮崩れしにくく、鮮やかな赤色が出やすいささげを使用し、似たような色味を出せるまで、私物のせいろを使い20回以上も試作を重ねた末に、あの赤飯が完成したそうです」(ドラマ関係者)
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『VIVANT』続編は2025年の放送か キャスト陣には日程調整の打診済み
NEWSポストセブンが取材を進めると、あるプランがTBS内で浮上していることがわかった。
「実はドラマチームのほうで『VIVANT』の続編が検討されています。映画ではなく、通常の連ドラの予定です。ただ、これだけの豪華なキャスト陣なので、全員を揃えるとなると近々での撮影が難しく、2025年の放送に向けて準備する計画だそうです。すでに重要な役どころとなっている出演者には、再来年のスケジュール調整の打診があり、3月くらいから3か月ほどの予定について話し合いをしています」
TBSの社長室広報・IR部は続編について「制作過程については従来、お答えしておりません」と回答しているが、最終回を目前にドラマ視聴者からは早くも続編を期待する声が相次いでいる。『半沢直樹』では続編公開までに7年かかったが、はたして──。
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