女子プロゴルファー日本一を決める大会の覇者は、今年も「ルーキー」だった。国内メジャー「日本女子プロゴルフ選手権コニカミノルタ杯」で神谷そら(20)が大会初出場で初優勝を飾った。昨年11月のプロテストをトップ通過した新人選手が、並み居るトッププロを押しのけて快挙を成し遂げた。ゴルフ誌担当記者が言う。
「昨年もルーキーの川崎春花(20)が優勝しており、2年連続です。神谷は1度プロテストに落ちているが川崎と同い年で、ジュニア時代からのライバル。神谷はこれで4月のフジサンケイ・レディースに続くツアー通算2勝目です。今年3勝している櫻井心那(19)ら2003年生まれの選手は粒ぞろいで『ダイヤモンド世代』と呼ばれている」
ほとんど試合に出られない時期も
神谷は6歳の時に父の勧めでゴルフを始めたという。アマチュア時代も早くから頭角を現わし着実にキャリアを歩んでいた。だが、2019年に起こしたトラブルで一時は“プロ絶望”と言われていた過去がある。
「試合中に林に入ったボールを打った際に、同じメーカーのボールがOBエリアから見つかり、誤球で失格となる事件があった。いわゆる“卵産み”の疑惑をかけられたんです。本人は否定したが、この影響からか2020年は試合を欠場することが多く、プロは難しいのではと言われていた」(前出・ゴルフ担当記者)
ゴルフは“紳士のスポーツ”と言われ、とりわけルールやマナーの遵守が求められる。厳しい目も向けられたが、鍛錬を積み重ねて掴んだプロの世界。本人は「将来は米ツアーに出たい」と海外志向を明らかにしている。プロゴルファーの沼沢聖一氏が言う。
「身体が柔らかく、体幹も強いのでとにかく飛距離が出る。コントロールより飛距離を目指す、アマチュアゴルファーの共感を呼ぶんじゃないですか。ロングで2オンを狙うゴルフは人気が出そうですし、若い頃の横峯さくらを思い出します。アマ時代のトラブルなんて糧にして試合でまた頑張ればいい。まずは日本ツアーを盛り上げてほしい」
167cmの長身から繰り出す大きなスイングでギャラリーを沸かせるニューヒロインの活躍は、今後もしばらく続きそうだ。
※週刊ポスト2023年9月29日号