国内

《重大事態》磐田東高校・剣道部いじめ事件に管轄の静岡県教育局「速やかに確実に調査を」被害者の保護者が心境吐露

磐田東高校

磐田東高校

 静岡県にある私立・磐田東高等学校(以下、磐田東高校)。多くのJリーガーやプロ野球選手を輩出しているスポーツ強豪校だ。NEWSポストセブンの取材で、2023年3月までに全国選抜大会7年連続出場を誇る同校の剣道部内で凄惨ないじめが行われていたことがわかった。

 NEWSポストセブンのスクープを受けて、NHKや共同通信、地元のSBSテレビ(静岡放送)などもこのいじめ問題を報道。学校がいじめ防止対策推進法に基づく「重大事態」に認定して県に報告していたことが報じられた。

 今年3月、いじめを受けた男子生徒A君とその保護者から訴えがあり、学校はいじめを把握したという。3月12日には、緊急保護者会が開催され「謝罪の場」が設けられ、剣道部の活動が1カ月間停止に(現在は活動を再開)。3月13日には、学校がいじめの防止対策調査委員会を設置し、部員らへの聞き取りを実施。そして、4月には部の保護者会を開催し、いじめに加担した生徒3名の退学処分が発表された。また、被害を受けたA君は4月に学校を辞めている。

 一方で保護者から被害届を受理した磐田警察署が学校や寮、武道場の現場検証を実施。8月からは第三者委員会による再調査が始まっているという。

凄惨ないじめの実態

 いじめ被害にあったA君が高校生活を送っていたのは、磐田東高校から車で10分ほどの距離にある剣道部の寮だった。40代の剣道部顧問は剣道六段、全国大会優勝経験者で同学校の教員をしている。顧問の所有する自宅が寮として使用され、顧問本人と寮母をつとめる妻は道を隔てた対面のアパートでほかの部員たちと生活していた。事件当時の寮内は、生徒のみが暮らす状況だった。

 NEWSポストセブンでは、この寮で行われていたいじめの証拠動画を確認している。動画には、正座をして口を開けるよう命じられた少年に金属製のスプーンが突き付けられる様子や、道場で正座させられたA君が上級生からビンタされている様子、スパイダーマンのコスチュームを着たA君がスマホを持った複数の上級生に囲まれ、急所を殴打される様子などがおさめられている。

「メルカリ」出品されたA君

「メルカリ」出品されたA君

 A君をめぐってはほかにも、こうした暴力だけでなく、理不尽な稽古の様子を撮影した画像や動画が複数、存在する。なかには、下着1枚で撮られた写真に『¥721 《商品説明》見ての通り男優 とりあえず餌与えとけば動きます。体臭め~』という言葉を加えてフリマアプリ『メルカリ』に投稿されたものもあった。

 今回のいじめで除籍となった上級生3人のほかに、当時止める立場でありながら、いじめに加わっていた幹部部員らは今も剣道部に在籍しているという。いじめ発覚から半年が経とうとしているが、調査は進展していない

 磐田東高等学校からの重大事態の報告を受け、高校の指導を行う静岡県教育局私学振興課に問い合わせると、以下のように回答した。

「現在、学校のほうで第三者調査委員会による調査が開始されたと聞いておりますので、被害者の方に寄り添って、情報提供しながら、速やかに確実に調査を行っていただきたい。そして、再発防止策にも取り組んでいただきたいと思っております」

 一連の報道後、A君の保護者がNEWSポストセブンの取材に現在の心境を打ち明けた。

「学校側や第三者委員会から私たちのところにはまだ何も連絡はありません。調べてわかった事実を教えていただきたいです」

 適切な調査のもとに、事実が公表される日はいつになるのだろうか。

関連キーワード

関連記事

トピックス

氷川きよしが紅白に出場するのは24回目(産経新聞社)
「胸中の先生と常に一緒なのです」氷川きよしが初めて告白した“幼少期のいじめ体験”と“池田大作氏一周忌への思い”
女性セブン
公益通報されていた世耕弘成・前党参院幹事長(時事通信フォト)
【スクープ】世耕弘成氏、自らが理事長を務める近畿大学で公益通報されていた 教職員組合が「大学を自身の政治活動に利用、私物化している」と告発
週刊ポスト
阪神西宮駅前の演説もすさまじい人だかりだった(11月4日)
「立花さんのYouTubeでテレビのウソがわかった」「メディアは一切信用しない」兵庫県知事選、斎藤元彦氏の応援団に“1か月密着取材” 見えてきた勝利の背景
週刊ポスト
多くのドラマや映画で活躍する俳優の菅田将暉
菅田将暉の七光りやコネではない!「けんと」「新樹」弟2人が快進撃を見せる必然
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告(右)と父の修被告
「ハイターで指紋は消せる?」田村瑠奈被告(30)の父が公判で語った「漂白剤の使い道」【ススキノ首切断事件裁判】
週刊ポスト
10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
「週刊ポスト」本日発売! 小沢一郎が吠えた「最後の政権交代を実現する」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 小沢一郎が吠えた「最後の政権交代を実現する」ほか
NEWSポストセブン