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北朝鮮の金正恩総書記、ロシア訪問で食糧支援の申し出を断る 市民からは「軍事協力より食糧を」と怨嗟の声

北朝鮮の一般市民はロシアからの食糧支援を期待していたが

北朝鮮の一般市民はロシアからの食糧支援を期待していたが

 北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記がロシアを訪問したことで、北朝鮮の一般市民はロシアからの食糧支援を期待していたが、報道されるのは軍事支援ばかりであることから、市民らは金氏の訪露成果に失望していることが明らかになった。米政府系報道機関「ラヂオ・フリー・アジア(RFA)」が報じた。

 金氏は9月中旬、外遊期間としては最長となる10日間の訪露を終えて帰国した。この間、北朝鮮では連日、テレビや新聞で金氏とプーチン大統領の首脳会談や金氏の視察先などを詳しく伝えていた。金氏はロシアの宇宙基地の他、最新鋭戦闘機や極超音速ミサイル、戦略爆撃機なども視察し、海軍基地ではフリゲート艦に乗り込んだ。

 北朝鮮各地の役所などの公的な施設では、特設会場に大型テレビを設置し、市民を動員して金氏の活動を讃える集会が開催された。動員された市民らは金氏がテレビ画面に映し出されると、万雷の拍手を贈っていたたが、その数も金氏のロシア滞在が3日目くらいになると、めっきりと減っていたという。

 この集会に参加した市民のなかには「ロシア訪問のお土産は武器よりも食糧が良かったのに」と叫んで、監視員に注意されるという一幕もあった。

 金氏一行が豪華な晩さん会に招待され、シャンパンや高価な食事を振る舞われるなどの様子も中継されており、これも市民の神経を逆なでしたようだ。

 タス通信によると、金氏と列車で一緒に移動したロシアのアレクサンドル・マツェゴラ駐北朝鮮大使は、ロシア側は北朝鮮代表団に対して、食糧援助を行う準備ができていると申し出たが、北朝鮮側は「今年は相当良好な水準の収穫量を達成した」として、支援を婉曲に断ったという。

 しかし、北朝鮮では2020年初めからの新型コロナウイルスの感染拡大で中露両国との貿易がストップし、最近まで国境が閉鎖されたことで、食糧不足が深刻化し、値段が急騰している。

 北朝鮮市民の間では、食糧をめぐって強盗事件が多発しており、殺人事件まで起きているが、北朝鮮の軍事力強化路線は揺るがないようだ。

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