2年連続Bクラスとなった巨人。同じ監督で2年連続4位以下の成績となるのは球団史上初の不名誉な記録となる。原辰徳監督に対する風当たりが強まっているが、3年契約最終年の来季も続投の可能性が高いという見方が多い。スポーツ紙デスクは、こう分析する。
「阿部慎之助ヘッド兼バッテリーコーチが次期監督の最有力候補ですが、指揮官としての手腕は未知数で指導能力も高いとは言い切れない。高橋由伸前監督の再登板は待望論が強いですが、チームが不安定な現在の状況で託すのは酷です。実績のある監督経験者を外部招聘する選択肢がベストに感じますが、巨人のフロント陣が断行するとは思えない。原監督に来年も託すことになると思います」
明るい材料はある。菅野智之、丸佳浩、中田翔らベテランが不調や故障で1年間稼働するのが厳しくなっている中、若手が台頭してきた。自己最多の9勝をマークしている山崎伊織を筆頭に赤星優志、菊地大稀、船迫大雅が頭角を現わし、野手はミート能力と長打力を兼ね備えた秋広優人が2ケタ本塁打を放ってブレーク。攻守で高い能力を示す門脇誠は遊撃の定位置をつかみ、不動のショートだった坂本勇人を守備の負担が少ない三塁にコンバートするメドが立った。
若手とベテランの融合で戦力は底上げされたはずだが、戦いぶりは精彩を欠いた。シーズンを通じて爆発力がなく貯金を作れない。その原因について、巨人を取材するスポーツ紙記者はこう指摘する。
「原監督のベンチワークのまずさが目立ちます。戦力は充実しているのだからもっとどっしりしていてもいいのに、選手をどんどん替えていく。リリーバーで左投手が登板したら、右打者を代打に起用するのが典型的な例です。秋広、吉川尚輝、梶谷隆幸は左投手への対応力が高いし、左投手が必ずしも左打者を得意にしているわけではない。どんどん手札を切るので、試合終盤になると戦力が弱くなり、力尽きてしまう。原巨人と対照的なのが首位を独走し、18年ぶりのリーグ優勝を飾った阪神の岡田彰布監督です。打線はレギュラーに託し、投手陣が多少打たれても我慢して動かない。ベンチがどっしりしているので、選手たちも地に足がついて力を発揮できている。投打で戦力が充実しているだけでなく、手堅いベンチワークで白星を積み重ねていた。V奪回は必然だと思います」