日本最大の歓楽街・新宿歌舞伎町。その中心部にほど近い新宿区立大久保公園にいま、路上で売春の客を待つ“立ちんぼ”が急増している。自らを「交縁女子」と名乗る彼女たち。21才のショウコさん(仮名)もその一人だが、彼女は今年の夏が始まる頃、警察のおとり捜査によって逮捕された。どういう経緯でその選択をしたのか、なぜそんな危険なことを始めたのか──歌舞伎町の住人たちを取材した著書『ホス狂い~歌舞伎町ネバーランドで女たちは今日も踊る〜』を持つノンフィクションライターの宇都宮直子氏がショウコさんに単刀直入にインタビューした。【前後編の後編】
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ショウコさんは東京近郊のある地方都市で一人娘として生まれ育った。中学・高校と女子校に通い、デザイナーを夢見て、服飾の専門学校に入学。しかし「男性には免疫がなかった」ため、専門学校の同級生の男子とはどうやって接していいのかわからない。「これではダメだ。男性に慣れなければ」と一念発起した彼女が選んだ方法は、ホストクラブの「初回」だった。
「ホストクラブって、初回はお店にいるキャスト全員がテーブルに話しに来てくれるんです。金額も3000円とか、高くても5000円で飲み放題。店によっては“飲み放題で無料”なんてところもあるから」(ショウコさん、以下同)
多くの男性たちと接していく中で、もともとEXILEなどのファンだったというショウコさんは「メンズ地下アイドル」にハマることとなる。
「その“推し”に会うためにはとにかくお金が必要だった。昼間のバイトやキャバクラの稼ぎだけでは賄えない。だから、風俗で働こうと思ったんです」
専門学校一年生、19歳の夏だった。男性への免疫がなかったというショウコさんは専門学校入学から短期間で、ホストとメン地下アイドルにハマり、キャバクラから風俗へと水商売の道にズンズンと突き進んでいったという。
しかし体験入店の当日、まさに“講習を受ける”ために店で待っていたところ「推しメンが不祥事を起こしてグループを脱退した」ことを知る。
「すっごい緊張して、ここまで来たのに、お金を作る理由がなくなっちゃいました」と笑うが、彼女はそのまま「風」の世界でデビューを果たす。推しがいなくなったら、別にお金は必要ではないのでは?なのに何故?と聞くと、ショウコさんは、まるでその質問自体が不思議だというように、目を丸くして「だって、女の子って、洋服とか美容院とかネイルとか、“可愛く”いるためにはお金が必要じゃないですか。お金っていくらあっても困るものじゃないでしょう?」とあっけらかんと答えるのだった。