水滴の厚さは約2ミリ。板の表面を彫り下げて微細な水滴を浮き彫りにし、研磨して水の透明感や潤いを表現している。そしてなんと、蝶の羽の模様は着色しているのではなく、異なる色味の木をはめ込んでいるのである。
作品が見られるのは三井記念美術館の「超絶技巧、未来へ!」展。美術史家・山下裕二氏監修「超絶技巧」シリーズ第3弾で、木彫、金工、漆工、陶磁、ガラス、水墨画、切り絵、ペーパークラフトなど、山下氏が見出した現代アートが揃う。
「17名の現代作家が緻密な技を究め、独自の感性で表現した、唯一無二の作品に度肝を抜かれます。『超絶技巧』のルーツである明治の名工の細密工芸と共に、進化する日本の凄技を体感してください」(山下氏)
■「特別展 超絶技巧、未来へ! 明治工芸とそのDNA」
会場:三井記念美術館
開館時間:10時~17時(入館は16時半まで)
休館日:月(10月9日は開館)、10月10日、
会期:11月26日まで
巡回展:12月8日~富山県水墨美術館、2024年秋以降に山口県立美術館、山梨県立美術館へ順次、巡回予定
撮影/太田真三 取材・文/渡部美也
※週刊ポスト2023年10月6・13日号