つかみどころのない風向きの「解散風」が、永田町で吹き荒れだした。国民の苦しい生活には目を向けず、「増税クソメガネ」なる不名誉なあだ名までついてしまった岸田文雄・首相は、伝家の宝刀をついに抜くのか。
封印された「41議席減」
「増税クソメガネ」の岸田首相が唐突に「成長の成果である税収増を国民に適切に還元すべきだ」と、“減税”の経済対策を指示したのだから必ず何か裏がある。
そう見ていたら、森山裕・自民党総務会長が10月1日の講演であっさり裏をバラして見せた。
「非常に重い表現だ。税に関することは国民の審判を仰がなければならない」
狙いは“減税解散”だった。官邸官僚が語る。
「総理は側近の木原誠二・前官房副長官らとひそかに企業減税を柱とする経済対策を検討してきた。内閣改造でも支持率が回復しなかったことで、いよいよ切り札を使うことにした」
その木原氏は内閣改造で自民党幹事長代理兼政調会長特別補佐に転じると、ネット番組で「岸田政権が増税政権だって言われてる以上は、自分が内閣にいる時はそういうこと言えなかったけど、減税やりゃいいんだよ、やって示すしかない」と言ってのけた。
岸田首相と財務官僚出身の木原氏は防衛増税などを推進した根っからの増税派として知られる。だが、首相は今や支持率ジリ貧、木原氏もスキャンダルを報じられて次の選挙は苦戦を免れそうにない。土壇場の2人が、節を曲げて人気取りの減税路線へと舵を切ったのである。それには大きなきっかけがあった。
首相の元に、自民党が9月中旬に行なった極秘の選挙情勢調査の結果が報告されたのだ。内容は衝撃的なものだったという。前出の官邸官僚が語る。
「自民党の予想獲得議席は最悪のケースで220議席で単独過半数割れ。公明党も最悪2桁減らす可能性があり、自公合わせてなんとか過半数(233議席)を維持できる程度という内容だった。一番議席を伸ばすのは日本維新の会だが、立憲民主党も増えるので野党第1党は変わらない。調査は各選挙区の情勢をかなり厳しめに見積もったというが、それにしてもひどい数字だから、影響の大きさを考えて調査結果は党内にも漏らさない扱いとなっていると聞いている」