改編期を迎え、テレビ各局は今さまざまな特別番組を投入している。特徴的な動きを見せているのが日本テレビ。生放送の番組を連発しているのだ。そこにはどんな狙いがあるのか? コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。
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春と秋の改編期前後には、民放各局が力を入れた大型特番が放送されますが、今年も例外ではありません。
『芸能人格付けチェック 秋の3時間スペシャル』(テレビ朝日系)、『炎の体育会系TV2023秋SP』(TBS系)、『FNSドラマ対抗お宝アワード2023秋』(フジテレビ系)、『ノリタケ・フミヤ・ヒロミの芸能人こだわりの家めぐり旅』(フジテレビ系)など、さまざまなジャンルの改変期特番が放送されています。
その中で「おやっ?」と目を引いたのは、日本テレビの特番。9月30日に『SHOWチャンネル 秋の2時間生放送』『ラグビーワールドカップ2023 アルゼンチン×チリ』、10月5日に『日テレ系!生番組の祭典 生デミー賞2023秋~テレビの神は生に宿るSP』、同7日に『開局70年特別番組THE MYSTERY DAY〜有名人連続失踪事件の謎を追え』、同8日に『ラグビーワールドカップ2023 日本×アルゼンチン』という生放送の特番がそろっています。
スポーツの国際大会を除けば、他局にこのような生放送特番の動きはありません。そもそも生放送には放送事故のリスクやクオリティの担保などの点で不安があるのに、なぜ日本テレビはこれほどこだわっているのでしょうか。各番組の内容を掘り下げつつ、その狙いを探っていきます。
「収録+スタジオ生トーク」の構成
まず『SHOWチャンネル 秋の2時間生放送』は3つの企画を放送。「大人の船舶免許プロジェクトwithヒロミ」では免許取得から初出航までの様子を、「全国1位のとこだけ行ってみたSP」では焼き芋、ラーメン、ハンバーガー、スーパー銭湯、アンテナショップを、「どれだけ食べたら元が取れる?」で食べ放題の店を紹介しました。
ただ、その大半は収録済みの映像。時折はさまれる櫻井翔さん、羽鳥慎一さん、小峠英二さんら「スタジオメンバーのトークパートだけが生放送」という構成でした。
次に、『日テレ系!生番組の祭典 生デミー賞2023秋~テレビの神は生に宿るSP』は、「生放送だから起こった名場面、珍場面を特集する」というコンセプトの特番。日本テレビのレギュラー番組を中心にアーカイブも含め、生放送番組の映像を次々に紹介していきました。
しかし、「生放送の祭典」をうたいながらも、その大半は放送済みの映像集。生放送は、各番組のMCを集めたスタジオでのトークと、番組対抗のゲームコーナーのみで、メインの映像集ほどの盛り上がりはありませんでした。
さらに、7日放送の『開局70年特別番組THE MYSTERY DAY〜有名人連続失踪事件の謎を追え』は、都内の大型映画館から生中継される視聴者参加型のミステリードラマ。ドラマ出演する豪華キャストと黒幕を考察し、ネット投票の正解者には総額1000万円がプレゼントされます。
「映画館に観客を集めて生中継をつなぐ」という演出の狙いは、黒幕考察の臨場感を高めること。ただ、こちらもメインは収録済みのドラマであり、生放送パートが欠かせない番組とは言えない感があります。