前人未踏の八冠全制覇に王手をかけた藤井聡太七冠。天才棋士と、対局を支えた全国の交流秘話をたずねる──。
「やっと、やっと始まりました!」。王位戦第4局が開幕した今年8月15日、佐賀県の和多屋別荘がSNS「X」(旧・ツイッター)で投稿すると、大きな反響を呼んだ。同旅館での防衛戦は2021年が豪雨、2022年が新型コロナの影響で中止になった背景があり、3年越しの地元悲願の対局の実現に「万感の思いがあふれた」(担当者)という。
対局の場に選ばれた宿では、時間をかけて“勝負めし”“勝負おやつ”を考案するなど準備を進め、万全のおもてなしの態勢で対局を支える。対局者が昼食や夕食で選ぶメニューには地元の食材や名物が使われることも多く、郷土料理も登場する。特に藤井七冠の“勝負めし”は全国から注目を集め、地域振興の起爆剤にもなっている。対局した部屋に宿泊できるなど追体験を楽しめる宿もある。
藤井七冠が勝負めしを堪能した宿、さらに「藤井聡太を追体験できる宿」を紹介しよう。
食べて勝った!ここ一番の勝負めし
●『緑霞山宿 藤井荘』(長野県高山村)
森鴎外など文人墨客にも愛された老舗旅館。最年少名人獲得記録を40年ぶりに更新するとともに、史上2人目の七冠を最年少で達成。
住所:長野県上高井郡高山村山田温泉3563
●『金沢東急ホテル』(石川県金沢市)
兼六園が徒歩圏内にある金沢の中心街に立地。羽生九段の挑戦を受け、1勝1敗で迎えた第3局は勝利で飾り、初防衛へ歩を進めた。
住所:石川県金沢市香林坊2-1-1