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女優業・長期休止中の志穂美悦子が振り返る『男はつらいよ』 25歳で「マドンナに絶対なる!」と誓い、30歳でオファー受ける

志穂美悦子

志穂美悦子が『男はつらいよ』出演時を振り返る

 映画『男はつらいよ』シリーズの主役はごぞんじ「寅さん」だ。そして、その寅さんと観客たちの心を常に鷲掴みにしたのが、マドンナたちだ。1986年公開の第37作『男はつらいよ 幸福の青い鳥』でマドンナ・美保を演じた志穂美悦子(67才)が、当時の思い出を語る。

『男はつらいよ 幸福の青い鳥』(1986年・第37作)
監督:山田洋次
【あらすじ】
 筑豊の劇場で、ひいきにしていた旅役者の座長が亡くなったと知った寅さん(渥美清)は、一座の花形だった美保を訪ねる。その後美保は幸せの青い鳥を求め、寅さんを頼って上京し、芸術家志望の看板職人・健吾(長渕剛)と偶然知り合う。ラーメン店で働き始めた美保は、健吾と一度はすれ違うも、晴れて婚約することに。

 * * *
「『男はつらいよ』のマドンナといえば、日本を代表する映画の重要なキャラで、それに選ばれるというのは女優の中のステータスの一つでした。私はアクション女優としてキャリアをスタートしていて、男っぽいとか強いといったイメージを持たれがちでしたし、高いハードルでしたが、25歳ぐらいのときに「寅さんのマドンナに絶対なる! 選ばれるぐらい頑張ろう!」と思ったんです。だから30歳でお話をいただいたときは「夢は叶うんだ!」って感激しました。

 美保役のオファーは、TBSドラマ『親子ゲーム』がきっかけだったそう。私と長渕剛さんが演じた加代と保の掛け合いを見て、山田監督が「二人を寅さんと絡めてみたい」と思ってくださったらしいんです。ただ、美保は寂しさを感じさせつつも基本的に明るいという、それまであまり演じてこなかった役でしたし、私と山田監督のマドンナのイメージに差異もあって役作りは大変でした。

 セリフの言い方のニュアンスなども細かく指導されましたし。あと、健吾(長渕剛)に恋していく可愛い女性というリクエストがあったので、そういう女性になりたいと思いながら、丁寧にしっかり気持ちを作って撮影に臨みました。渥美清さんは大御所ですが、とても物静かな方で、自然体な方。撮影中に「俺、肺が一つないんだよね」と、当時公表されていないような体調のことまでお話しくださいました。

 私にとって最後の出演映画となったこの作品は、記念すべき青春メモリアル映画です。じつは女優の引退宣言はしていないんです。映画公開後に長渕さんと結婚し、本当は女優を続けるつもりでしたが、子育てを優先したかったですし、夫の「家の中に二つの星は要らないと思う」という意見も聞いて、今は長期休止中なんです(笑い)。

【プロフィール】
志穂美悦子(しほみ・えつこ)/1955年生まれ、岡山県出身。JAC入会を経て、アクション女優として人気を博す。代表作に映画『女必殺拳』シリーズ、『二代目はクリスチャン』、ドラマ『影の軍団』シリーズなど。結婚後は女優業を休止し、現在は花創作家(フラワーアーティスト)として活動中。

撮影/宮本賢一 取材・文/秋月美和

※女性セブン2023年10月26日号

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