英ケンブリッジ大学の研究機関が2013年から中国人民解放軍傘下の研究所と提携をし、これまで209万ポンド(約3億8200万円)もの助成金を中国側から受けていたことが発覚。これを受けて同大学は今年9月末までに中国の研究所との共同研究を中止し、これまでの助成金返還していたことが明らかになった。
ケンブリッジ大学は中国側と航空宇宙機器などの開発に関する共同研究を行っており、これらの研究成果が中国の軍事兵器開発に使われたとみられる。しかし、中国側は「純粋な民間交流」と主張している。英紙「タイムズ」などが報じた。
ケンブリッジ大学の研究機関である先端光科学電子技術センター(CAPE)は、中国航空宇宙科学技術公司(CASC)傘下の北京航空宇宙制御計装研究所(BACI)と技術携帯していた。英中両国間の交流などを調査する民間研究機関「UK-China Transparency(UKCT=英中透視)」が英国の情報公開法などに基づき調査したところ、2013年以降、ケンブリッジ大学のCAPEとBACIが軍事技術に関して共同研究を行っていることが分かった。さらに、BACIの親会社であるCASCが、中国人民解放軍の軍事技術開発部門である戦略支援部隊に属していることも明らかになった。
ケンブリッジ大学はUKCTからの指摘を受け、直ちにCAPEとBACIの技術提携関係の解消を決定した。両者はこれまで光ファイバーセンシングや光電子発振器などの航空宇宙技術に関連する研究プロジェクトで協力しており、その成果が中国側によって軍事転用された可能性が高いという。
さらに、これら英中間の共同研究の提携関係は、英国外務省が支援する団体「ケンブリッジ・チャイナ・デベロップメント・トラスト(CDT)」が企画した英中両国の学術機関の交流プログラムがきっかけとなったことも明らかになった。
CDTはケンブリッジ大学に中国国有企業幹部を招待し両者の協力関係を推進していたが、その後、この交流プログラムには中国軍幹部で、米国政府から軍事技術の違法輸出などで制裁を受けていた人物が招待されていたことも発覚した。中国では大学や企業の研究機関の研究者が軍とつながっている場合もあり、民間人を装って米英などの西側の研究機関との技術提携を持ちかける例が多く報告されている。