芸能

異彩を放つNHK「23時台バラエティ」、“民放ドラマ式”編成の狙いとは?

『笑わない数学』

パンサー尾形が出演する『笑わない数学』(公式HPより)

 NHKが放送する23時台のバラエティ番組が注目を集めている。内容だけではなく、「まるで民放ドラマのような」編成も斬新だといわれている。どのような編成でそこにはどのような狙いがあるのか? コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。

 * * *
 今秋からNHK総合テレビの23時台で、月曜に『超多様性トークショー!なれそめ』、火曜に『100カメ』、水曜に『笑わない数学』の3番組が放送されています。

『超多様性トークショー!なれそめ』は、トランスジェンダー、発達障害、養子縁組、夫婦間腎移植、性教育YouTuberなど、さまざまなカップルのなれそめをベースにしたトーク番組。『100カメ』は、K-POP養成所、産婦人科、メタバース、男子校文化祭など、週替わりの場所に100台の小型カメラを設置するドキュメンタリー。『笑わない数学』は、パンサー・尾形貴弘さんが「リーマン予想」「フェルマーの最終定理」「連続体仮説」などの難解な数学の世界を大まじめに解説する異色の知的エンタメ。いずれも民放各局のバラエティでは見られない斬新なコンセプトの番組であり、ジワジワとクチコミでファンを増やしているようです。

 しかもこれらの番組が斬新なのは、放送内容だけではありません。現在の編成がスタートした昨年4月から、基本的に1クール・3か月ごとに3つの番組を入れ換えて放送されています。「クールごとに番組を入れ換える」という、まるで民放ドラマのような編成の狙いやメリットは何なのでしょうか。

狙いは若年層の視聴と配信再生数

 NHKは昨年4月から23時台の番組を「若年層ターゲットゾーン」と呼んで、若年層に向けた番組を編成しはじめました。

前述したように斬新なコンセプトの番組が多いのは「若年層がターゲットだから」であり、今秋の3つ以外でも、「回転寿司MVP選手権」「ワンちゃんトリミング競技大会」「全国学校給食甲子園」など日本各地の大会を勝手に実況する『ニッポン知らなかった選手権 実況中!』、開局当初からの膨大なアーカイブを笑いを交えて大放出する『天然素材NHK』、企業の失敗を漫画や特撮などの人気キャラを使って再現する『神田伯山のこれがわが社の黒歴史』などが放送されています。

 特筆すべきは、どの番組の構成・演出もゴールデン・プライムタイムと同等以上のこだわりが見られ、「繰り返し見たくなる」「思わずつぶやきたくなる」という中毒性があること。その背景には、23時からの放送をリアルタイムで見てもらうだけではなく、「無料配信の『NHKプラス』でも見てもらいたい」という狙いもあるようです。

 もう1つ象徴的なのが、各番組が総合テレビの23時台でレギュラー化されるまでの道のり。実際に今秋の3番組を見ていきましょう。

『100カメ』は、2018年9月から2021年11月まで11回にわたる不定期放送を重ねてからレギュラー化。『超多様性トークショー!なれそめ』は、2022年からEテレで約半年弱を2期放送してから、総合テレビでレギュラー化。『笑わない数学』は、2022年6月に深夜帯の番組開発枠『レギュラー番組への道』でパイロット版が放送され、翌7月から早くもレギュラー化。さまざまな形で制作・放送された番組の中から、「これは23時台でいける」というものが選ばれている様子が伝わってきます。

 では、なぜ1クールごとに入れ換えているのでしょうか。

関連キーワード

関連記事

トピックス

電撃引退を発表した西内まりや(時事通信)
電撃引退の西内まりや、直前の「地上波復帰CMオファー」も断っていた…「身内のトラブル」で身を引いた「強烈な覚悟」
NEWSポストセブン
女性2人組によるYouTubeチャンネル「びっちちゃん。」
《2人組YouTuber「びっちちゃん。」インタビュー》経験人数800人超え&100人超えでも“病まない”ワケ「依存心がないのって、たぶん自分のことが好きだから」
NEWSポストセブン
悠仁さまの大学進学で複雑な心境の紀子さま(撮影/JMPA)
悠仁さま、大学進学で変化する“親子の距離” 秋篠宮ご夫妻は筑波大学入学式を欠席、「9月の成年式を節目に子離れしなくては…」紀子さまは複雑な心境か
女性セブン
ニューヨークのエンパイヤ・ステイトビルの土産店で購入したゴリラのぬいぐるみ「ゴンちゃん」は、公演旅行に必ず連れて行く相棒
【密着インタビュー】仲代達矢・92歳、異色の反戦劇を再々演「これが引退の芝居だと思ってもいないし、思いたくもないんです」 役者一筋73年の思い
週刊ポスト
品川区にある碑文谷一家本部。ドアの側に掲示スペースがある
有名ヤクザ組織が再び“義憤文”「ストーカーを撲滅する覚悟」張り出した理由を直撃すると… 半年前には「闇バイト強盗に断固たる処置」で話題に
NEWSポストセブン
現在は5人がそれぞれの道を歩んでいる(撮影/小澤正朗)
《再集結で再注目》CHA-CHAが男性アイドル史に残した“もうひとつの伝説”「お笑いができるアイドル」の先駆者だった
NEWSポストセブン
『THE SECOND』総合演出の日置祐貴氏(撮影/山口京和)
【漫才賞レースTHE SECOND】第3回大会はフジテレビ問題の逆境で「開催中止の可能性もゼロではないと思っていた」 番組の総合演出が語る苦悩と番組への思い
NEWSポストセブン
永野芽郁の不倫騒動の行方は…
《『キャスター』打ち上げ、永野芽郁が参加》写真と動画撮影NGの厳戒態勢 田中圭との不倫騒動のなかで“決め込んだ覚悟”見せる
NEWSポストセブン
電撃の芸能界引退を発表した西内まりや(時事通信)
《西内まりやが電撃引退》身内にトラブルが発覚…モデルを務める姉のSNSに“不穏な異変”「一緒に映っている写真が…」
NEWSポストセブン
入院された上皇さまの付き添いをする美智子さま(2024年3月、長野県軽井沢町。撮影/JMPA)
美智子さま、入院された上皇さまのために連日300分近い長時間の付き添い 並大抵ではない“支える”という一念、雅子さまへと受け継がれる“一途な愛”
女性セブン
交際が伝えられていた元乃木坂46・白石麻衣(32)とtimelesz・菊池風磨(30)
《“結婚は5年封印”受け入れる献身》白石麻衣、菊池風磨の自宅マンションに「黒ずくめ変装」の通い愛、「子供好き」な本人が胸に秘めた思い
NEWSポストセブン
母の日に家族写真を公開した大谷翔平(写真/共同通信社)
《長女誕生から1か月》大谷翔平夫人・真美子さん、“伝説の家政婦”タサン志麻さんの食事・育児メソッドに傾倒 長女のお披露目は夏のオールスターゲームか 
女性セブン