1979年、19歳の女優・熊谷真実が主演したNHK連続テレビ小説『マー姉ちゃん』は最高視聴率49.9%を記録。熊谷は一躍、国民的スターとなった。それから44年──数多のグラビアオファーを断わりつづけた女優は、還暦後の離婚を経て、「生きたいように生きる。まだ見ぬ自分に出会う」と決意しグラビア出演に挑戦した。
「プライベートの旅行で水着を着たら、友達が『胸キレイだね』『63歳とは思えない』と誉めてくれたんです。これまでは恥ずかしくて見せてこなかったけど、自分に自信を持つために挑戦することを決心しました」
熊谷は『マー姉ちゃん』のほか、今村昌平、五社英雄ら錚々たる映画監督の作品に出演。グラビアオファーも数多あったが、今日まで実現してこなかった。
「30代の頃、写真集が決まっていたんです。でもある日、古本屋の前を歩いていたら、女優さんの写真集が100円で売られていて。『あぁ、私の決意って結局は100円で売られちゃうのかぁ』と思ってドタキャンしてしまって。若かったんですね(笑)」
熊谷が指名したのは、世界的写真家・下村一喜。還暦を超えて覚悟を決めた彼女の自信があふれている。
撮影/下村一喜
※週刊ポスト2023年10月27日・11月3日号