中国教育省は2021年7月に、小中学生の校外学習の負担と親の経済的な出費を減らし、1000億元(約20兆円)規模に膨れ上がった教育産業の「無秩序な拡大」を抑制するため、学習塾が営利目的で小中学校教科の補修授業を行うことなどを禁止した。しかし、2年経ったいまでもオンラインなどでの補習授業や、音楽や絵画、スポーツの講習などと偽装して講習が行われるなど、「闇授業」化していることが明らかになった。
このため、教育省は新たに規制を強化し、これらの闇授業が摘発された場合、業者に最高10万元(約200万円)の罰金を科すことを決めた。近く法制化されるという。米国を拠点とする中国問題専門ウェブサイト「博訊新聞網」が報じた。
教育省の措置により、中国教育大手の「新東方」や「巨人教育」が倒産するなど、大手学習塾は姿を消した。
しかし、やり方を変えて「闇授業」で生き残る学習塾がはびこるようになった。
これまでは塾の教室にたくさんの生徒を集めて授業を行っていたが、教育省の規制後は「講師1人対生徒1人」というマンツーマンに切り替えた。このような家庭教師の場合、講師が学校の教科以外のスポーツや音楽の講習という名目で、生徒の自宅で教えることができるため、規制の網をかいくぐることができた。
しかし、親にとっては思わぬ弊害が出てきた。個人授業だけに、塾の費用と比べて高額になってしまったのだ。
親からすれば、「闇」とは知りながらも、家庭教師代金をけちるわけにはいかず、「家庭の負担を減らす」という目的の教育省の塾廃止令が逆に家計を圧迫するという皮肉な結果となっている。果たして今回の規制はどれほどの効果があるのか、注目される。