芸能

《追悼》財津一郎さん、療養生活で明かしていたタケモトピアノCM誕生秘話と深い感謝「ピアノのおかげで生き延びている」

「タケモトピアノ」でおなじみの財津一郎さん(時事通信フォト)

「タケモトピアノ」でおなじみの財津一郎さん(時事通信フォト)

「ピアノ売って、ちょうだ~い!」あの明るい歌声が、みんなの心に残っている──。中古ピアノの買い取り・販売を手がけるタケモトピアノ(大阪府堺市)のCMで有名な俳優・財津一郎さんが亡くなったと報じられた。「週刊女性PRIME」の報道によると、10月14日に慢性心不全で死去したという。89歳だった。

 財津さんは1934年生まれ、熊本県出身。藤田まこと主演のコメディ番組『てなもんや三度笠』(TBS系)に浪人・蛇口一角役で出演し、「ヒッジョーにキビシ〜ッ!」や「〜してチョーダイ!」といったギャグでお茶の間の人気者となった。

 コメディアンとしてはもちろん、演技派俳優としても活躍したが、1995年に脳内出血を発症した。体力面に不安を抱えながらも、2010年に映画『ふたたびswing me again』で主演。しかし、翌年にドラマ『3年B組金八先生ファイナル』(TBS系)に出演したのを最後に、実質的な芸能活動休止状態になっていた。

『週刊ポスト』は2019年、療養生活を過ごす財津さんにタケモトピアノのCM秘話や、当時の生活についてインタビューしていた。追悼の意を込めて、その内容を再掲する。

 * * *
──タケモトピアノのCMに出ることになった経緯を教えてください。

財津:もう20年以上も前のことだからね──。タケモトピアノは、東南アジアの貧しい幼稚園や小学校にピアノを送るボランティア事業をやっていたんです。かつて、高度経済成長下の日本では、ピアノを手に入れたがる人が多かった。夫婦が一生懸命努力して稼いで、子供のためにピアノを買っていたんです。その子供が独立した後は、ピアノが花瓶置きや本棚みたいになっちゃっていたので、それを回収してリメイクし、東南アジアの教育施設に送っていたんです。

 僕も音楽が好きだし、ピアノも好きだから、ピアノをリメイクするっていうのはいいテーマの仕事だなと。しかもボランティアで東南アジアに送り出すという。それで話に乗ったんです。

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