苦労して親権を得た娘だったが、大阪で一緒に住むようになると言い争いが絶えなくなった。
「幼少期に近くにいてあげられなかったことから『いちばん大変なときに何もしてくれなかったくせに、急に母親面しないで』と猛反発。やっぱり遊びに行くだけ、いい部分だけを一緒にいるだけでは絆なんて全然生まれなかったんだと痛感させられたし、何より私の中に“親の言うことがいちばん”という昭和的な思い込みがあったことがよくなかった。
いまはインターネットですぐに情報が手に入って親よりも子供の方がいろいろ知っていたりする。だから頭ごなしに怒らず、自分が謝るべきところは謝るように心がけたら徐々に打ち解けることができて、いまは娘ととてもいい関係を築いています」
困難を乗り越え、いまも笑いを届け続ける大きなモチベーションは舞台に立つこと。
「彼の闘病中は舞台に立っているときだけが現実逃避できる楽しい場所だった。だからいつも、舞台を降りると娘と会いたいと思って声を殺して泣いていました。そんな私を見て、新喜劇のお姉さんたちは優しく、誰のことも悪く言わずただひたすら話を聞いてくれた。本当に感謝しています。
いざ元夫がいなくなってしまうと、今度は私が大黒柱として何とか娘にいい思いをさせて、おいしいものを食べさせたいという“動物の本能”が生まれてきて、舞台はもちろん、それ以外の仕事もしゃかりきに頑張るようになった。そのおかげでプチブレークすることもできて、“親ってすごい”と感じています」
【プロフィール】
島田珠代(しまだ・たまよ)/1970年大阪府出身。1988年、吉本興業に入社。吉本新喜劇の代表的女優、アイドルグループ『吉本坂46』として活躍。ドラマの現場で出会った夫と結婚し、見送った現在は娘と2人で暮らしている。
※女性セブン2023年11月2日号