芸能

【全文公開】現役タカラジェンヌいじめ死去事件の真相 陰口・密告でライバルを失脚させ…「醜い争い」が招いた悲劇

タカラジェンヌたちの間で何が起きたのか(写真は2019年の合格発表。共同通信社)

タカラジェンヌたちの事件の裏には何があったのか(写真は2019年の合格発表。共同通信社)

 華やかで美しく荘厳な宝塚のステージは、タカラジェンヌたちの不断の努力のうえに成り立っている。だが、行きすぎた競争心は、足の引っぱり合いさえ辞さない歪な人間関係を作り、ついには「現役タカラジェンヌの自死」という、最悪の事態を招く──。

 阪急電鉄とJR福知山線が乗り入れる宝塚駅から宝塚大劇場へと続く遊歩道は、通称「花のみち」と呼ばれ、公演がある日には多くのヅカファンで賑わう。だが、現在は人通りはまばらで、稽古のために劇場を出入りするタカラジェンヌたちは、一様に俯いて硬い表情を浮かべ、歩き去っていく。宝塚歌劇団は、来年、創立110周年を迎える。その直前に起きた前代未聞の事態に、伝統ある“女の園”が揺れている。

 宝塚大劇場は、兵庫県の都市部を北から南に流れる武庫川のほとりに建っている。その川の対岸にあるマンションに、けたたましいサイレンを鳴らした救急車とパトカーが駆けつけたのは、9月30日土曜日の早朝のことだった。マンション前にうつぶせの状態で倒れていたのは、現役のタカラジェンヌ。入団7年目で、宙組に所属する娘役の有愛きいさん(享年25)は、現場のマンションの17階の部屋に住んでいた。

 その朝、有愛さんはマンション屋上から転落したとみられている。今際で、目の端に捉えていたであろう宝塚大劇場は、彼女には“伏魔殿”に見えていたのかもしれない──。

 有愛さんは、京都府出身。実家は140年以上続く老舗の漬けもの店で、双子の姉妹の姉として生まれた。

「妹は、同じくタカラジェンヌの一禾あおさんです。娘役の有愛さんに対して、身長171cmと長身の一禾さんは男役。“イケメン”と評判でファンも多くついています。とても仲がよく、姉妹で父親が所有するそのマンションに住んでいました。ご両親とも熱心な宝塚ファンで、娘たちの活躍を心から願っていました」(宝塚関係者)

 だが、タカラジェンヌになるまでの道ですれ違う。

「中学卒業後に宝塚音楽学校を受験し、揃って合格しました。ですが、妹の一禾さんが2014年に102期生として入学した一方、有愛さんは入学直前にアキレス腱を痛める大けがに見舞われ、入学を1年遅らせざるを得なくなったんです。

 そのため、102期の妹に対して、自分は103期の“後輩”になってしまった。上下関係に厳しい音楽学校では、やはり“姉ながら下級生”という立場には、複雑な思いがあったようです。とはいえ、有愛さんはそういった逆境さえもバネにする、頑張り屋さんでした」(前出・宝塚関係者)

 音楽学校を卒業し、晴れてタカラジェンヌの仲間入りを果たした有愛さんは、歌唱力に定評のある娘役として人気を集めた。

「明るくて面倒見がよく、後輩からも慕われていました。責任感も強いので、先輩から言われたことを、真面目にこなすタイプでした。ただ、入学までの経緯もあり、“自分には足りない部分があるのかも”と、どこかで引け目を感じて、無理を重ねてしまっていたのかもしれません」(前出・宝塚関係者)

関連キーワード

関連記事

トピックス

中学時代の江口容疑者と、現場となった自宅
「ガチ恋だったのかな」女子高生死体遺棄の江口真先容疑者(21) 知人が語る“陰キャだった少年時代”「昔からゲーマー。国民的アニメのカードゲームにハマってた」【愛知・一宮市】
NEWSポストセブン
すき家がネズミ混入を認め全店閉店へ(左・時事通信フォト、右・HPより 写真は当該の店舗ではありません)
【こんなに汚かったのか…】全店閉店中の「すき家」現役クルーが証言「ネズミ混入で売上4割減」 各店舗に“緊急告知”した内容
NEWSポストセブン
中居の女性トラブルで窮地に追いやられているフジテレビ(右・時事通信フォト)
X子さんフジ退社後に「ひと段落ついた感じかな」…調査報告書から見えた中居正広氏の態度《見舞金の贈与税を心配、メッセージを「見たら削除して」と要請》
NEWSポストセブン
ロコ・ソラーレが関東で初めてファンミーティングを開催(Instagramより)
《新メンバーの名前なし》ロコ・ソラーレ4人、初の関東ファンミーティング開催に自身も参加する代表理事・本橋麻里の「思惑」 チケットは5分で完売
NEWSポストセブン
江口容疑者と自宅
《16歳女子高生の遺体を隠し…》「6人家族だけど、共働きのご両親が不在がちで…」江口真先容疑者(21)が実家クローゼットに死体を遺棄できた理由
NEWSポストセブン
中居氏による性暴力でフジテレビの企業体質も問われることになった(右・時事通信)
《先輩女性アナ・F氏に同情の声》「名誉回復してあげないと可哀想ではない?」アナウンス室部長として奔走 “一管理職の職責を超える”心労も
NEWSポストセブン
濱田淑恵容疑者の様々な犯罪が明るみに
【女占い師が逮捕】どうやって信者を支配したのか、明らかになった手口 信者のLINEに起きた異変「いつからか本人とは思えない文面になっていた」
週刊ポスト
中居の女性トラブルで窮地に追いやられているフジテレビ(右・時事通信フォト)
「スイートルームの会」は“業務” 中居正広氏の性暴力を「プライベートの問題」としたフジ幹部を一蹴した“判断基準”とは《ポイントは経費精算、権力格差、A氏の発言…他》
NEWSポストセブン
大手寿司チェーン「くら寿司」で迷惑行為となる画像がXで拡散された(時事通信フォト)
《善悪わからんくなる》「くら寿司」で“避妊具が皿の戻し口に…”の迷惑行為、Xで拡散 くら寿司広報担当は「対応を検討中」
NEWSポストセブン
男性キャディの不倫相手のひとりとして報じられた川崎春花(時事通信フォト)
“トリプルボギー不倫”4週連続欠場の川崎春花、悩ましい復帰タイミング もし「今年全休」でも「3年シード」で来季からツアー復帰可能
NEWSポストセブン
騒動があった焼肉きんぐ(同社HPより)
《食品レーンの横でゲロゲロ…》焼肉きんぐ広報部が回答「テーブルで30分嘔吐し続ける客を移動できなかった事情」と「レーン上の注文品に飛沫が飛んだ可能性への見解」
NEWSポストセブン
中居の女性トラブルで窮地に追いやられているフジテレビ
「スイートルームで約38万円」「すし代で1万5235円」フジテレビ編成幹部の“経費精算”で判明した中居正広氏とX子さんの「業務上の関係」 
NEWSポストセブン