事態は悪化する一方だ。ガザとイスラエル、双方の死者があわせて6000人を超え、イスラエルが受けた攻撃でこれほどの被害が出たのは、1973年の「第4次中東戦争」以来だという。
10月7日、ガザ地区を包囲するフェンスを破り、イスラム組織のハマスがイスラエル領内に侵入。奇襲攻撃によって約1400人が死亡し、約200人が「人間の盾」として連れ去られた。
イスラエル側はただちに、ガザを空爆した。翌日には、子供20人を含む400人以上のパレスチナ人が死亡。その後も空爆は続いている。イスラエルのネタニヤフ首相が「戦争状態にある」と宣言した通り、奇襲から2週間以上が過ぎても停戦の兆しは見えず、双方の死傷者は増えるばかりだ。
そのほとんどは、女性や子供など一般市民である。16日にはハマスのSNSで、イスラエル国籍の女性の人質が「早くここから出してください」と訴える様子を撮影した動画が公開された。22日に、ガザ地区の保健当局が発表した情報によれば、パレスチナ人の死者数は4600人を超え、その4割近くが子供だという。
1948年の建国以来、この地では紛争が絶えない。ユダヤ人(教徒)が主導権を持つイスラエルという国家の枠組みの中に、イスラム教徒が暮らすパレスチナ自治区があるからだ。これまで両者の間では4度の戦争が起きたが、いずれもイスラエルが勝利を収めた。奇襲攻撃を仕掛けた10月は、1973年の第4次中東戦争開始から50年の節目となるタイミングだった。悲しみの連鎖はいつ終わるのだろうか。
●ロンドンでは、人質解放を求める抗議運動が
7日の奇襲攻撃の際、ハマスは約200人をガザ地区に誘拐した。だが10月24日現在、解放されたのは4人のみ。ロンドンでは、人質解放を求める抗議活動も(10月22日)。
●戦闘のため帰国する兵士を空港で鼓舞する女性たち
ベン・グリオン国際空港では、イスラエル人の女性たちが帰国する男性たちを歓迎していた。イスラエル軍は30万人に及ぶ予備役を招集し、地上攻撃の準備を進めているとされる。
●難民キャンプを爆破され、がれきの上を逃げる
イスラエル軍はガザ地区のブレイジ難民キャンプを攻撃し、潜伏していたハマスの最高司令官を殺害した。子供を抱えたパレスチナ人の女性ががれきの上をさまよう(10月17日)。
※女性セブン2023年11月9日号