Mリーグ「KADOKAWAサクラナイツ」の紅一点、岡田紗佳(29)は雀士のほか、モデルやタレントとしての顔も持つが、「やっていることは何も変わらない」という。
「たくさんの方に楽しんでもらう、という点では同じこと。Mリーグでは“魅せる麻雀”を心がけています。役満のような大物手だけでなく、必死にもがく姿が魅せる麻雀だと思う。とにかく私は勝ちにこだわりたい」
Mリーグの対局場は静けさに包まれ、プロでさえチョンボをしてしまう緊張の舞台。目の肥えた麻雀ファンは、モデルと二足のわらじを履く岡田に対して、時に厳しい視線を向ける。
「どうしても“タレントのくせに”という見方をされてしまう。そうした声は気にしないようにしています。普段からそれ以上に練習をしている自負があります。4シーズン戦って(KADOKAWAは2年目から参戦)何よりメンタル的な部分が強くなった」
それにしても、テレビ番組で九蓮宝燈や国士無双の13面待ちなど伝説級の役満をあがり、大舞台での引きの強さを持つのが岡田だ。
「幸運をたぐり寄せるコツなんてありませんし、ゲン担ぎもしない。持っているな、としか言えませんね(笑)。ただ、Mリーグではまだ役満をあがっていないので、今年こそ達成したい」
もっと20代のMリーガーが増えてほしい
プロとして日頃の鍛錬も怠らない。ネット麻雀に参加し、その牌譜を麻雀AI「ナーガ」に解析させ、リアルな麻雀にフィードバックしているという。
「Mリーガーのなかでも私や同じサクラナイツの内川幸太郎プロ、渋川難波プロはAIに忠実な打ち手らしいんです。私にとって、AIの解析はあくまで麻雀の基礎の確認作業ですが、対局中の相手の手牌など、見える情報が増えてきた。ただ、情報が増えることで弱くなることもあるのが麻雀。単なるデジタル思考だけでは勝てない」
今季から中田花奈がMリーガーとなり、岡田は最年少ではなくなった。
「といっても、中田さんとは同じ1994年生まれの29歳。もっと20代のMリーガーも若手が増えてほしいです」
若手雀士の台頭を待ち侘びるが、大きな壁がある。18歳未満の未成年は雀荘への入店が許されず、プロ資格も18歳からだ。
「子どもを対象にした麻雀教室はたくさんできてきている。問題は中学生や高校生が麻雀をやる場がないこと。これがクリアできたら、麻雀界の未来は明るい」
今季の目標は無論、2シーズンぶりの優勝だ。
取材・文/柳川悠二
※週刊ポスト2023年10月27日・11月3日号