何かとストレスを感じやすい昨今だが、心はもちよう、である。コラムニストの石原壮一郎氏が考察した。
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人生に「期待外れ」は付きものです。話題の映画を観たらつまらなかったとか、長い行列に並んで食べたラーメンが口に合わなかったとか、好きなアーティストのライブに行ったら歌う曲が少なくてどうでもいい話ばっかりだったとか……。
話はコロッと変わりますが、人気シンガー・ソングライターの山崎まさよしが、ライブで通常の半分以下の数の曲しか歌わず、一部のファンがSNSに不満を書き込むなどして物議を醸しました。問題となったのは、10月21日に茨城県水戸市で行なわれたライブ。最初に山崎が「今日はあまり歌いたくない」と宣言し、歌よりもトーク中心で進められたとか。
ところが、内容に納得できないファンが途中で席を立ったり、ステージ上の山崎に「払い戻ししろ!」と詰め寄ったり、「遠くから楽しみにして来たのに」と泣き出したりなど、ただごとではない雰囲気だったようです。騒動を受けて所属事務所は23日に謝罪し、チケットの払い戻しに応じると発表しました。
「明らかにいつもの彼とは様子が違った」という投稿もあるなど、ファンのあいだでは山崎の体調や精神状態を心配する声が上がっています。どういうわけで“ただごとではない”感じの内容になったのかは、今のところよくわかっていません。
ふたたび話は変わります。このライブとは関係なくあくまで一般論として、人生における「期待外れ」について考えてみましょう。大事なことなのでもう一度言います。あくまで一般論で、このライブとは関係ない話です。
そもそも生身の人間が行なうライブは、アーティストの気分や体調などで出来が左右されがち。マックのハンバーガーのように、いつどこで買っても同じというわけにはいきません。「期待以上の大当たり」に巡り合うときもあれば「大きく期待外れ」のときもあり、そこがまた醍醐味とも言えます。
「大当たり」のときは「得した」「いいものを見た」と喜べばいいだけですが、踏ん張りが必要となるのが「期待外れ」だったとき。対処の仕方によっては、被害やダメージが余計にふくらんでしまいます。「期待外れ」な出来事に遭遇したときに、受けるマイナスを最小限に抑えて、できることならプラスに変換するにはどうすればいいのか。
ライブが残念な内容だった場合に、自分の中でマイナスな感情をふくらませるのは簡単です。「チケット代を払った自分は純然たる被害者だ。損害を埋め合わせてもらう権利がある」と考えれば、アーティストや関係者への怒りがフツフツと湧いてくるでしょう。SNSに「こんな理不尽な目に遭った。あのアーティストはヒドイ!」と書き込めば、賛同してくれる人がたくさん現われて、自分がいかに可哀そうであるかを実感できます。