エステ脱毛と医療脱毛を含めた「脱毛サロン」の倒産件数が過去最多を更新した。帝国データバンクが2023年10月19日に報告している。
9月までに9件の倒産
ヒフコNEWSで伝えているように、国内では、医療脱毛のウルフクリニックが突然閉鎖され、その後、運営に関与していたTBIが破産開始決定に至っている。最近でも、エステ脱毛のシースリーを展開するビューティースリーが破産した。
帝国データバンクによると、2023年の脱毛サロンの倒産件数は9件になり過去最高件数を更新した。脱毛ラボなどが倒産した2022年に7件で過去最多更新していたが、2年連続で記録更新となった。まだ、サービス終了や廃業なども含めるとさらに多くの脱毛サロンが淘汰されたと見られるという。
2023年の倒産の特徴は、全国展開し、回数無制限など通い放題をうたったプランで運営されていた中~大規模なサロンが破たんしたことだという。
脱毛サロンでは、特にエステ脱毛においてレーザー脱毛に比べて難易度が低く、100万円以下の安価で高性能な機械が普及して参入障壁が低く、異業種からの参入が増えていた。
また、低価格で顧客を引きつけたものの、店舗が増加する中で、スタッフの採用がうまくいかずに人件費が高くなり、宣伝広告費の増加も避けられなくなり、利益が圧迫され、しかも新規の顧客も得られずに倒産に至るケースが考えられる。
トラブル続発でサロン選びは慎重さが求められる
倒産に至った脱毛サロンでは、ウルフクリニックにおいては、利用者が医師を訴える事態に発展するなど、急な店舗閉鎖で、返金を受けられないまま路頭に迷う人が多数発生している。また、成人年齢が引き下げられたことで、18歳、19歳の契約をめぐるトラブルが増加していることが問題になっている。
一方で、脱毛サービスを原因としたヤケドなどの健康トラブルも多く発生している。経験の浅いサロンが増えることで、このような被害も拡大することが心配される。脱毛サロンを検討する際には、倒産の可能性がないか、経験が確かかといった観点から慎重に検討する必要があるのだろう。
参考文献
なぜ大阪のエステ脱毛は書類送検に?女性のやけど事件の背景を大阪府警に聞いた
成人年齢18歳に、10代の脱毛エステや医療のトラブル相談が急増
男性医療脱毛ウルフクリニック突然閉鎖、女性も知っておきたいクレジット返金ルール
男性専門医療脱毛「ウルフクリニック」経営関与の会社TBIが破産開始決定
大手脱毛サロン「C3(シースリー)」運営会社が破産、約4万6000人に影響、クレジット返金など利用者の対応要する状況も見込まれる
【プロフィール】
星良孝/ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表、獣医師、ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。
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