北朝鮮が今年に入って、アフリカ南部のボツワナでゾウ19頭分の象牙と18頭のサイの角の密輸に関わっていたことが明らかになった。北朝鮮は1986年から2020年までに起きた29件の密輸事件のうち、ボツワナなどの18件の象牙やサイの角の密輸事件に関係していたことが分かっている。
北朝鮮による密漁は新型コロナウイルスの感染拡大で一時鳴りを潜めていたものの、今年に入って再び活動を活発化させている。米政府系報道機関「ラヂオ・フリー・アジア(RFA)」が報じた。
ボツワナはアフリカ南部の内陸国で、カラハリ砂漠や、緑豊かな動物の生息地となるオカバンゴ デルタを含む大自然で知られる。同国の大規模な中央カラハリ動物保護区の草原地帯にキリン、チーター、ハイエナ、ゾウ、ライオン、サイなど多くの野生動物が生息している。
同国では、ゾウやサイの象牙や角などの密猟事件が後を絶たない。とくに、外貨を求めて北朝鮮の組織が暗躍していることは知られている。
スイス・ジュネーブにある「国連国際組織犯罪防止グローバル・イニシアチブ」によると、1986年以降、北朝鮮が関与した18件の密輸事件が発覚。2015年には駐南アフリカ北朝鮮大使館のパク・チョルジュン参事官が、現地のテコンドー講師のキム・ジョンス氏とサイの角を密輸しようとして摘発されている。2019年には北朝鮮の外交官キム・ヒョンチョル氏が南アフリカから象牙を密輸していたとして摘発されている。
今年のボツワナの事件では、密輸された象牙とサイの角は南アフリカとジンバブエを経由し、モザンビークに待機していた2人の北朝鮮外交官に渡されたところで、国際機関の担当官によって、この2人の身柄が確保されたという。
その後の調べで、彼らは象牙やサイの角だけでなく、外交官特権を利用して金やダイヤモンドなどの貴金属類なども密輸し、本国に送っていたことが分かっている。