作家の佐藤愛子さんが、2023年11月5日で100歳を迎えた。このたび『九十歳。何がめでたい』と『九十八歳。戦いやまず日は暮れず』という2冊のベストセラーを原作に『九十歳。何がめでたい』として映画化されることが決定。その『九十歳。何がめでたい』で、佐藤さんはこう綴っていた。
〈「九十といえば卒寿というんですか。まあ!(感きわまった感嘆詞)おめでとうございます。白寿を目ざしてどうか頑張って下さいませ」
満面の笑みと共にそんな挨拶をされると、
「はあ……有難うございます……」
これも浮世の義理、と思ってそう答えはするけれど内心は、
「卒寿? ナニがめでてえ!」と思っている。〉
そんな佐藤さんが白寿を越えて100歳を迎えたいま思うのは──。
『九十歳。何がめでたい』を読んだ読者の皆さんから編集部に届いた愛読者ハガキは実に2万通超。「元気をもらいました」「ゲラゲラ声を出して笑いました」「そうだ!そうだ!と何度も膝を打ちながら読みました」といった感想とともに、こんな言葉が数多く書かれていた。
「愛子先生、これからも楽しみにしています。次は『百歳。何がめでたい』ですね!」
佐藤さんは九十歳を迎えたときと同様、「百歳。何がめでたい」という心境なのか。「先生。百歳、おめでとうございます」と恐る恐る伝えると──。
「何もめでたくないわよ。『九十歳。何がめでたい』で『卒寿? ナニがめでてえ!』なんて書いたものだから、百歳を迎えても、みんなボロクソに言われるとわかっているでしょ。誰もおめでとうなんて言わないわね」
──いま、どんな感慨が胸に去来していますか。
「感慨なんてないですよ。感慨は自然に出てくるもので、求められて考えるものじゃないですから。
私は年のことを考えないで生きてきましたからね。良くもなければ、悪くもない。自然ですよ。ただ、そうなった、という心境です。人のことなら、百まで生きて大変だろうなぁと思うでしょうけど、自分のことだったら、どうってことないですから」
※女性セブン2023年11月16日号