香港では昨年から、香港政府の公務員約18万人全員に対して香港政府と中国政府への忠誠を尽くすための宣誓をしなければならないとの制度が発足した。イングリッド・ヤン香港政府公務員長官は10月下旬、昨年の間に宣誓を拒否した公務員664人が解雇されていたと香港議会の答弁で明らかにした。宣誓拒否で解雇された公務員の数が公開されたのは初めて。香港を拠点とする非営利ニュースサイト「香港フリープレス」が報じた。
公務員の宣誓は2020年6月に反中国的な言動を取り締まる 香港国家安全維持法 ( 国安法 )を施行したことを受け、「愛国者による香港統治」を徹底するため導入されたもの。
宣誓式は昨年6月に行われ、「私は中国の香港政府公務員として、政府への忠誠を誓います」と述べるか、あるいは同内容の文書を1カ月以内に署名して提出するよう求められた。
一方、この宣誓を拒否した上級公務員合計129人と下級公務員535人の計664人は、解雇または辞職している。
香港では以前から、立法会(議会)などの選挙に当選した議員は行政長官の前で、香港政府と中国政府に忠誠を尽くす宣誓を読まなければならず、これを拒否した民主派系議員は失職となっている。この宣誓が公務員にも拡大したことで、ますまず香港の中国化が進むことを憂慮する声も少なくない。
また、これと関連して、ヤン長官は昨年度の1年間(4月1日から翌3月31日まで)、香港政府の施政方針に反対するなどした公務員60人が解雇されたことを併せて明らかにした。香港では過去5年間で195人が解雇されているが、昨年度の60人は過去5年間の年平均の約40人の1.5倍で、これまででの最多だという。