北朝鮮が、中国との国境に接する鴨緑江上流の両江道陽江地区において、鴨緑江岸の国境フェンスや鉄条網の下に、数十本もの尖った釘の先を上にした「釘板」を設置していることが明らかになった。
同地区では鴨緑江の川幅が狭く、さらに水深が浅いため、泳いでも容易に中国領にたどり着けるといわれるが、市民の脱北を懸念した北朝鮮当局が最近、住民を動員して突貫工事で約10kmの「釘板街道」を建設したという。米政府系報道機関「ラヂオ・フリー・アジア(RFA)」が報じた。
この釘板は1枚が長さ2m、幅20cmほどで、これを10km分で5000枚敷き詰めたという。この板には裏から約10cmの釘が数十本刺されており、中国側への脱北を試みる人々が逃げられないようになっている。
これらの釘板を作るにあたっては、陽江地区の住民1世帯に2枚ずつのノルマが課せられたという。このため、住民は板と釘の代金を払って、さらに報酬なしで釘板を作らなければならず、住民の不満が高まっているという。
この鴨緑江沿いには人が住んでいない地域が多く、数年前に設置された低木フェンスについても、倒れて破損している部分があり、警備も厳重ではないことから「脱北の穴場」と呼ばれている。
北朝鮮当局は新型コロナウイルスの感染が終息したことから、今後、脱北者が増えることを見越して、このような「釘板」の設置に踏み切ったとみられる。