巨人・阿部慎之助新監督(44)が初の秋季キャンプに入った。4年ぶりのV奪還に向けてチーム一丸──と思いきや、球団内部は一枚岩とはいかず、早くも暗雲が垂れ込めている。【前後編の前編。後編を読む】
「地獄の秋」予告で反応
「球界の盟主」の再建を託された阿部新監督だが、新体制の船出は順風満帆というわけにはいかないようだ。
新体制のコーチ人事では、内海哲也氏(41)を西武から、矢野謙次氏(43)を日本ハムから呼び戻し、それぞれ一軍投手コーチ・打撃コーチに配した。阿部監督が現役時代を共に過ごしたメンバーを集めたかたちだが、その一方で“阿部主導”とは言えない人事もあったという。スポーツ紙デスクが言う。
「それが川相昌弘・内野守備コーチ(59)と桑田真澄・二軍監督(55)です。年上の2人が要職を占めるのは阿部監督にとってやりやすいはずがありませんが、2人の就任は球団側の意向だったとされています」
そうしたなか、新体制の発足直後からその言動が注目されているのが、桑田二軍監督だ。桑田氏は就任直後から、若手選手を率いて「みやざきフェニックス・リーグ」に臨んでいた。
2021年から巨人で一軍投手チーフコーチ、ファーム総監督などを務めた桑田氏にとって、プロの試合を率いる初陣となった。だが、その采配ぶり以上に関係者の注目を集めたのが、初采配の前日に報道陣から「采配プラン」を聞かれて口にした言葉だった。
「(これまでの野球界は)昔から怒鳴ったり、強制されて、言われたことしかできない選手を育ててきた」
そう語ったうえで、「自分で考えて行動できる選手を育てたい」と述べた。理論派の桑田氏らしい言葉にも聞こえるが、時期が時期だけに波紋を広げている。スポーツジャーナリストが語る。
「阿部さんは二軍監督時代から“昭和の野球”を貫き、スパルタ指導で知られてきた。桑田さんの言葉は、そうした阿部さんのやり方を否定、批判する口ぶりです。
阿部さんは2020年に二軍監督に就任した直後、プロアマ戦で早稲田大に敗れ、全選手に外野ポール間を往復する罰走を科したこともある。一軍のコーチになってからは原辰徳・前監督(65)の目もあってか大人しかったが、妥協を許さない性格は変わらないから、監督就任で二軍監督の時のように戻るかもしれない。だからこそ、秋季キャンプでチームが本格始動する前に、反スパルタの“桑田流改革”を打ち出し、釘を刺したのではないか」