2023年10月、美容医療診療指針が医療ガイドラインの公的なリストであるMinds(マインズ)に追加された。これは外部の評価を受けて選ばれたもの。これからより広く活用されることになりそうだ。
厚生労働省の研究プロジェクトから生まれた
美容医療診療指針は、2019年に厚生労働省の研究プロジェクトの一環として初めて作成された。特筆すべきは、美容医療に関連する主要な学会である日本美容外科学会JSAPSと日本美容外科学会JSAS、日本美容皮膚科学会、日本形成外科学会、日本皮膚科学会のすべてが協力して作成に参加したことだった。その後、2021年に改訂され、内容が大幅に更新された。
ヒフコNEWSでは、美容医療診療指針について、日本美容外科学会JSAPSの前理事長である大慈弥裕之氏のインタビューを通じてその重要性について紹介している。ここで、ガイドラインのポイントについて改めてまとめよう。
・美容医療のガイドラインの重要性:美容医療は安全性や有効性に問題がある場合もあるため、安全で効果的な施術を行うために診療ガイドラインが求められた。
・ガイドラインの策定プロセス:美容医療診療指針は、複数の学会が協力して作成。日本美容外科学会JSAPSと日本美容外科学会JSAS、日本美容皮膚科学会、日本形成外科学会、日本皮膚科学会という美容医療に関連する主要な学会が参加。80人の専門家が集まり、長期間にわたり作成の作業。
・ガイドラインの対象:顔の注入治療、レーザーを使った治療、豊胸術(乳房増大術)など、国内の美容医療施設で一般的な施術に焦点を当てた。
・ガイドラインの改訂:2019年に初版が作られ、さらに2021年に改訂された。これにより推奨治療と非推奨治療の一覧が更新。
ガイドラインには、さまざまな美容医療施術について、施行を勧めるだけでなく、施行しない方がよいと勧める内容も含まれた。例えば、人工的なフィラーを使用した豊胸手術など、日本で行われている一部の美容医療施術について行わないように勧めるなど、新たな視点を提供した。
外部の評価を受けて価値の再確認
今回、美容医療診療指針がMindsに掲載された。Mindsは、厚生労働省の委託事業として提供されている公的な診療ガイドラインライブラリーで、日本で約20年の歴史がある。2023年11月までに、223件のガイドラインがこのプラットフォームで公開されている。
Mindsに掲載される際、学会が作成したガイドラインがそのまま掲載されるわけではない。Mindsでは、日本で公開された診療ガイドラインを収集し、その中から利害関係者の参加や厳密な作成プロセスなどのポイントを評価して、掲載に値するものを選ぶという仕組みがある。
この10月に美容医療診療指針(令和三年度改訂版)が掲載されたが、これがMindsに掲載されたことは、外部からの評価を受けて、その価値が再確認されたことを示している。今後、美容医療診療指針は多くの人にとって利用しやすくなると見込まれる。
参考文献
日本の美容医療、課題と展望 日本美容外科学会JSAPSの前理事長の大慈弥(おおじみ)裕之氏に聞く
「やってはいけないフィラー豊胸術」、世界が認めていないのに日本でいまだに行われている理由
【プロフィール】
星良孝/ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表、獣医師、ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。
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