消費者の好みの多様化や物価高などの影響で年々縮小傾向にあるビール市場が久々に沸いている。今年10月の酒税法改正で、ビール1缶(350ミリリットル)あたり70円から63.35円と約6.65円の減税となり、ビール党にとっては値下げが期待できるうれしい状況だ。そうした中、大手ビール各社が満を持して新商品を投入。13種類をビール通の2人に飲み比べてもらった。
「実はこれほどじっくり市販のビールを飲み比べたのは初めてで、味わうほどに作り手の熱いこだわりが伝わり驚きにもなりました」(レストラン大宮オーナーシェフ・大宮勝雄氏)
「焙煎麦芽を使った“秋ビール”は色も味も濃い。メーカー各社の工夫が凝らされ、甘みやコクが強くて苦みが少ないこの季節のビールが一番好きです」(タレント・古賀麻里沙氏)
それぞれのビールに合うおつまみも挙げてもらった。行楽や晩酌のおともの参考にしていただきたい。
【飲みくらべた人】
大宮勝雄(おおみや・かつお)/1950年生まれ、東京都出身。イギリスやフランス、ギリシャなどで修業を重ね、1982年に地元浅草で「レストラン大宮」を開店。テレビの料理番組などにも多数出演している。
古賀麻里沙(こが・ありさ)/1987年生まれ、福岡県出身。ビール好きが高じて合格率5%程度という日本ビール検定1級を取得。ビール講座の講師なども務める。「ビールおねえさん」として活躍中。
【審査方法】
香り、味わい、のど越しを各10点満点で採点。2人の点数を合計し、60点満点で審査した。※価格は税込み
今回のラインナップは、「アサヒオリオン 75BEER ペールエール」(アサヒビール)、「ヱビス オランジェ」(サッポロビール)、「一番搾り やわらか仕立て」(キリンビール)、「ココロクラフト 月灯りアンバーラガー」(サッポロビール)、「パーフェクト サントリービール〈黒〉」(サントリー)、「キリン秋味」(キリンビール)、「SPRING VALLEY JAPAN ALE〈香〉」(キリンビール)、「ザ・プレミアム・モルツ ホップセレクト 清らかダイヤモンドホップ」(サントリー)、「ザ・プレミアム・モルツ 〈ジャパニーズエール〉 ゴールデンエール」(サントリー)、「サッポロ生ビール ナナマル」(サッポロビール)、「アサヒ スーパードライ クリスタル」(アサヒビール)の11種のビールと、「金麦 〈琥珀の秋〉」(サントリー)、「サッポロ GOLD STAR 秋の豊熟」(サッポロビール)の2種の第3のビール。
計13種の中で最高評価となったのは、ともに54点となった「アサヒオリオン 75BEER ペールエール」(アサヒビール)と「ヱビス オランジェ」(サッポロビール)の2つ。2人の評価とコメントを紹介しよう。
●「アサヒオリオン75BEER ペールエール」(アサヒビール) 350ミリリットル 299円
大宮さんの評価 香り10点・味わい10点・のど越し10点
「コクと香りが喉に残るが、後味が抜群にいい。斬新な苦みも感じられる。イチオシおつまみはオランジェット」
古賀さんの評価 香り9点・味わい8点・のど越し7点
「柑橘系の香りはアメリカンホップならでは。苦みの中にほんのり甘みを残している。イチオシおつまみは島ダコとキュウリのキムチ和えなど、沖縄料理」
●「ヱビス オランジェ」(サッポロビール)
大宮さんの評価 香り9点・味わい9点・のど越し9点
「万人に愛される飲みやすさ。どんな料理も邪魔をせず、ずっと飲み続けられる。イチオシおつまみはハンバーガー」
古賀さんの評価 香り10点・味わい9点・のど越し8点
「オレンジピールの香りにうっとり。デザートにも合わせられる、新しい一杯。イチオシおつまみはチョコブラウニー」
撮影/内海裕之 取材・文/小野雅彦
※週刊ポスト2023年11月17・24日号