ロシア連邦保安庁(FSB)が発表した「ロシア連邦内の移出入民管理統計(2023年1月~6月)」によると、2023年上半期に「ロシア連邦政府が特別な理由で入国を許可した外国人市民」として、370人の北朝鮮の要人がロシアに入国しており、昨年の同時期に入国した44人の8倍以上だった。これは、朝ロ間の軍事協力関係が大幅に進展したことが原因とみられる。英国を拠点とする北朝鮮問題専門サイトの「NKニュース」が報じた。
旧ソ連の出入国管理制度は独特で、北朝鮮など友好国の政府関係者や国営企業の幹部などの場合、通常のビザとは違う「移民用特別ビザ」となる。
これらの北朝鮮人のほとんどは今年の1月から6月の間に飛行便でロシアに入国している。しかし、北朝鮮からロシアへの直行便は8月に再開されたばかりであり、多くの北朝鮮人は、第3国を経由してロシア入りしている。
これとは別に、北朝鮮は例年、多くの労働者をロシアに送り込んでいるが、2020年から昨年までの3年間は世界的な新型コロナウイルスの感染拡大で、両国間の交流は停滞していた。
しかし、昨年2月のロシア軍のウクライナ侵攻後、ロシアの武器弾薬不足から、北朝鮮が備蓄しているロシア製の兵器や弾薬、砲弾などの軍事物資がロシアに逆輸入されていることが米政府などによって確認されており、朝ロ間の軍事面の交流が活発化している。
特に、今年に入ってからは、ロシアのジョイグ国防相が北朝鮮を訪問。さらに、金正恩朝鮮労働党総書記が今年9月、ロシア極東を訪問し、プーチン大統領と会談するなど密接な交流が続いており、北朝鮮の政府高官や軍関係者、軍需関係企業の幹部らがロシアを訪問しているとみられる。
また、ロシアのマラト・クスヌリン副首相は昨年、「ロシア極東を含む建設プロジェクトで2万~5万人の北朝鮮労働者を雇用できる」と語っており、今後は数万人単位で北朝鮮労働者がロシア入りする可能性がある。