「午後1時からの公演だというのに、2人からはお酒のにおいが漂ってきて(苦笑)。すれ違いざまに驚き振り返るお客さんもいたほどです」(居合わせた客)
10月下旬、東京・下北沢の本多劇場に現れたのは、寺島しのぶ(50才)と中村獅童(51才)。この日、2人が観劇したのは、松尾スズキ(60才)が主宰する大人計画の舞台『ドクター皆川』だった。
「大人計画の公演に足を運ぶ芸能人は多く、この日も複数の俳優さんの姿がありました。だから、寺島さんと獅童さんがいてもそう驚くことはないのですが、2人の様子はちょっと普通ではないというか。足元はふらふらでベロンベロンに酔っているように見えましたね……(笑い)」(別の客)
2人が揃って千鳥足で下北沢にやってきたのはなぜなのか。実はこの前日は、10月公演「錦秋十月大歌舞伎」の千穐楽。寺島と獅童は「文七元結物語」の演目で、主人公夫婦を演じ、大役から解放された直後だったのだ。
「女人禁制の長い歴史を持つ歌舞伎座で、しのぶさんは大人の女性で初めてメインキャストとして檜舞台に上がったのです。幼い頃に“私も歌舞伎役者になる”と心に決めながら、女性であるがゆえに挑戦する機会さえ得られず、ずっと悔しい思いをしてきました。今回の舞台は、歌舞伎界のガラスの天井をうち破った歴史的快挙であると同時に、しのぶさんにとっては長年の夢がかなった瞬間だったのです」(歌舞伎関係者)
寺島の起用に加えて、山田洋次監督が演出を手がけたことでも話題を呼んだ。
「稽古場にたびたび取材クルーを入れるなど、興行主の松竹も宣伝にかなり力を入れていました。ただ、チケット販売は苦戦。一部には『山田監督の手法が歌舞伎とマッチしていない』という声もあったようですが、それでもしのぶさんは相当な意気込みで舞台に臨んでいましたよ」(前出・歌舞伎関係者)
さまざまなプレッシャーを受けながら、歴史に名を刻んだ寺島は千穐楽後、獅童とともに関係者の家で打ち上げを敢行したという。
「最初は『疲れているから』と乗り気でなかった様子の獅童さんですが、最終的にはいちばん元気になって、帰ろうとするメンバーたちを逆に引き止めていたそうです(笑い)。
2人は幼なじみで、しのぶさんの苦楽を獅童さんはずっと近くで見てきた。お酒とともに思い出話に花が咲いたのでしょう。結局、打ち上げは朝方まで続いたのだとか。ただ、この日は2人とも昼から観劇の予定があったため、それぞれの家にいったん“朝帰り”した後に本多劇場で落ち合ったそうです」(前出・歌舞伎関係者)
積年の思いがあふれ、思いのほか長い打ち上げになってしまったようだ。
※女性セブン2023年11月30日・12月7日号