ライバル球団の阪神が38年ぶりの日本一に沸く裏で、巨人の阿部慎之助・新監督(44)に託されたのは、原辰徳・前監督(65)時代に低迷したチームの再建だ。チーム改革が進むなか、去就に注目が集まったのが原監督時代に広島からFAで加入した丸佳浩(34)だ。
丸は移籍1、2年目の2019年、2020年にリーグ優勝に貢献したものの、今季は打率.244、18本塁打と不本意な成績に終わった。スタメンから外れる試合も多く、広島時代の2012年以来11年ぶりに規定打席に到達せず、100安打を切った。
「今オフで5年契約の最終年だったため、2022年8月に取得したFA権を再行使して広島に出戻るのでは、とも見られていました」(スポーツ紙デスク)
ところが、フタを開けてみれば、阿部監督がベテランの参加を免除した秋季練習(10月14~30日)に自ら志願し、初日から全体練習に参加。全日程の2週間を皆勤したのだ。
「最終日には、練習後に外野グラウンドで阿部監督と密談し、笑顔を見せていました。不甲斐ない成績で外野レギュラーも確定ではない状況でしたから、阿部監督に再出発の覚悟をアピールし、手応えのある反応を得られたのでは」(巨人番記者)
丸は阿部監督と談笑した後、記者に「僕が(プロ野球を)見始めた時は阿部さんがちょうど入団された頃ぐらい」「選手の時もコーチになられてからも、すごくフランクに話しかけてくれる」などと“リスペクトコメント”も欠かさなかった。
2021年にDeNAから加入した梶谷隆幸(35)を含め、原監督時代のFA戦士はいずれも年齢的にピークを過ぎている。若手との入れ替えを図りたいチームの戦略にはハマらないからこそ、広島への出戻りも取り沙汰されたわけだが、FAの申請期限が翌日に迫った11月13日には報道陣に「(FA権は)行使しない」と明言。残留するという“決断”はチームの目指す再建を揺るがしかねないものだろう。ある巨人OBが声を潜めて言う。
「丸は川崎のジャイアンツ球場近くに豪邸を購入しているんです。早々の残留宣言は、巨人に骨を埋めるつもりということでしょう。
原監督のFA補強はミスター(長嶋茂雄氏)の頃から続く“欲しい欲しい病”の系譜です。巨人はFAの契約条件として、引退後のコーチ就任を保証しているケースが少なくない。そのせいで優秀なコーチを入れられず、地位を保証されたコーチ陣の頭数だけ多くなりがち。政権が代わっても、過去に補強した選手が“不良債権”として積み重なってしまう構図です。丸にも引退後にコーチ就任のレールが敷かれているという噂がある。長く巨人にかかわるOBには、ジャイアンツ球場近くに生活拠点を置く人が少なくありませんから」
※週刊ポスト2023年12月1日号