日本シリーズが終わりシーズンオフに入ったプロ野球界だが、ストーブリーグはいつになく盛り上がっている。3年連続投手4冠&沢村賞を達成した山本由伸(オリックス)、今季パ・リーグ最多セーブの松井裕樹(楽天)、WBC決勝で好投した今永昇太(DeNA)がメジャー挑戦を表明すれば、HR王3回の山川穂高(西武)、パ3連覇のオリックスの主戦投手・山崎福也、広島の好打者・西川龍馬らは国内FAで移籍を模索。さらに、混沌とした状況に拍車をかけたのが中田翔の巨人退団だ。
中田は日本ハム時代の2021年8月、チームメイトに対する暴行騒動で無期限出場停止処分を科せられたが、同月に巨人へ無償トレードされるとすぐにグラウンドに復帰。翌2022年には24本塁打を放って存在感を示し、新たに3年契約を結んだ。しかし、来季の巨人は岡本和真がファーストに回ることが決まっており、中田は出場機会を失う可能性が高いため、チームを出る道を選択。この決断に多くの野球ファンは驚かされた。
「阿部慎之助新監督は岡本のファースト固定を明言しており、中田は構想から外れたも同然。出場機会を求めるのはプロとして当然ですが、彼には特殊な事情があります。
そもそも中田は、暴行騒動で選手生命が終わってもおかしくなかった選手。しかし、謹慎処分を受けた彼を巨人が“強奪”し、他チームに移れば不祥事がチャラになる悪しき前例を作りました。それで大人しくしているのかと思いきや、今度は“試合に出られそうにないから”と、あっさりチームを出るというのですから、多くの野球ファンが驚いたのも当然です」(野球担当記者)
しかし、道義的な部分はさておき、契約的には中田が他球団に移籍することに何ら問題はない。実際、複数の球団が中田獲得に動いているが、移籍先はどこになるのか?
「近年の日本プロ野球界は急激な投高打低が進んでいて、右の大砲は各チームとも喉から手が出るほど欲しい存在。今シーズン、貧打に悩んだ中日、広島、ロッテ、日ハム、西武あたりなら、入団すれば4番は確実でしょう。
ただ、中田は推定3億円×2年分の契約を捨てての移籍なので、年俸はそのあたりがベース。そうなると広島と西武は撤退、ロッテも中田に3億円は出せないでしょう。また日ハムは暴力騒動を起こして飛び出したチームだけに戻るに戻れない。そうなると残るのは中日です。
中日は今シーズン、ともかく打線が貧弱で、打率、安打数、HR数、得点、出塁率など、あらゆる部門が全てリーグ最下位で、打線の立て直しは急務。立浪監督は就任以来2年連続最下位で、なりふりかまっている余裕はありません。すでに巨人から中島宏之、ソフトバンクから上林誠知を獲得しましたが、そこに中田が加われば補強としては十分です」(フリーの野球ライター)