乙女の園が揺れている──。劇団員の有愛きいさん(享年25)の急死を受けて、宝塚歌劇団の組織体制が問題視されている。同劇団は11月14日に開いた会見で、外部の弁護士チームによる調査報告書を公表。過密スケジュールや自主稽古の存在が有愛さんの死につながった背景に触れ、遺族に謝罪しつつも、ハラスメントやいじめについては「存在を確認できなかった」とした。
遺族の代理人を務める川人博弁護士は、上級生によるパワハラやいじめを認めない姿勢を「一時代、二時代前の古い価値観」と痛烈に批判しており、双方の言い分が真っ向からぶつかる形だ。
宝塚といえば黒木瞳
宝塚歌劇団は100年を超える長い歴史の中で、多くの名女優を輩出してきた。その代表格と言えるのが黒木瞳(63)だ。今年7月、宝塚音楽学校の創立110周年記念式典に登壇した際は、「あの頃があって今の自分がいる。大変なこともあったけど、かけがえのない財産です」と感慨深げにコメントした。
黒木は福岡県出身。高校時代に鑑賞した宝塚歌劇『ベルサイユのばら』に衝撃を受け、熊本県の音楽大学への進学が決まっていたが、思い出づくりのつもりで宝塚音楽学校を受験した。あくまで記念で受けていたため面接でうっかり「SKD(松竹歌劇団)でもよかったんですけど」と言ってしまったというエピソードは有名だ。
それでも黒木は倍率22.4倍の“狭き門”を突破し、晴れて宝塚音楽学校に入学。苦難の日々が始まった。
「勢いで宝塚入りしたようなものなので、歌もダンスも未経験。あまりに何もできないので、『裏口入学では?』と揶揄する上級生もいたそうです。だからこそ黒木さんは周囲に追いつこうと必死で、毎朝、学校に一番乗りして練習に励んでいました。
頑張りのかいがあって、20歳で歌劇団に月組の娘役として入団することになります。そしてその半年後には、大地真央さんの相手役として娘役のトップスターに抜擢されたのです。史上最速でのトップ就任ということもあり、周囲のやっかみを買って、大地ファンから砂入りサンドイッチを渡されて泣きじゃくったことも。しかし黒木さんの中で、大地さんのそばで学べる幸せのほうが勝ったそうです」(スポーツ紙記者)