作家の伊集院静(本名・西山忠来)さんが11月24日、肝内胆管がんのため死去した(享年73)。山口県防府市で在日韓国人2世として生まれた。義兄が巨人の選手だった縁から、長嶋茂雄氏から「(母校の)立教に来なさいよ」と誘われ立大の野球部に入部。卒業後、広告代理店勤務を経て、テレビCMのプロデューサーや松任谷由実のコンサートの演出を担当しつつ、ピンク・レディーや近藤真彦の楽曲『ギンギラギンにさりげなく』や『愚か者』の作詞を手がけた。
近藤は過去に「伊集院さんはギャンブルの仕方も遊び方もスマートでさ、本当に憧れる」と語り、「私の人生の節目節目に必ずいてくれた頼もしい兄貴でした」と追悼のコメントを出すほど慕っていた。
エッセイも多数執筆。中でも「大人の流儀」シリーズは、累計200万部を突破するベストセラーとなった。豪快な私生活を送り、各界と交流関係が広く、男女問わず愛された、まさに文壇のスーパースター。彼の人生にこそ、学ぶべき流儀があった。
夏目雅子さんは1977年、カネボウ化粧品のキャンペーンガールに選ばれた。そのCMディレクターを伊集院さんが務め、1984年に夏目さんと結婚。「素敵なお友達にめぐまれていて、そしてお仕事も熱心なかた」と夏目さんは語っていた。
1992年『受け月』で第107回直木賞を受賞。授賞式には、結婚を発表したばかりの女優・篠ひろ子と一緒に出席。篠は「最期まで自分の生き方を貫き通した人生でした」と夫の死去についてつづった。
2003年、堂本剛がイラストを手がけた伊集院さんのエッセイ本『ずーっといっしょ。』の出版記念記者会見。伊集院さんはKinKi Kidsの『やめないで,PURE』の作詞を手がけていた。
2007年には、当時ヤンキースに所属していた松井秀喜氏を描いた本『MODESTY』を出版し、ニューヨークでの記者会見に同席。プライベートでもつきあいがあり、会食をともにして松井氏を励ます機会が多かった。
写真/女性セブン写真部、時事通信社
※女性セブン2023年12月14日号